デイサービス業務の中でも、ミスを起こさないように特に気をつけたいのが服薬管理です。
デイサービスのご利用者は、人によって様々な薬を服用されています。中には自己管理が難しい方もいますよね。
自己管理が難しいご利用者の薬の管理は、デイサービス職員が行なうことになります。
デイサービスでの服薬管理は、ご利用者の命にもかかわる重要な業務です。
ですが服薬管理の方法は意外と難しく、なかなか定着しないと悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は、私が10年間のデイサービス勤務経験の中で実施してきた服薬管理の7つの手順を中心に次のような内容を紹介していきます。
- デイサービスでの服薬管理の重要性
- デイサービスでの服薬管理の7つの手順
- 万が一服薬ミスが発覚した場合の対応
今回紹介する服薬管理の7つの手順を実施するようになってからは、デイサービスの事故全体の中での服薬ミスの割合も7%から1%以下まで減らすことができています。
デイサービスの現状に合わせて実施できる部分を取り入れて頂くことで、デイサービス全体への意識づけや服薬ミスの防止につなげていきましょう!
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デイサービスでの服薬管理の重要性
言わずもがなですが、デイサービスに限らず介護現場での服薬管理はご利用者の命に関わる重要な業務です。
デイサービスの現場職員の中には、意外と命に関わる業務であることの意識が薄い職員もいるものです。
ですのでまずは、デイサービスの職員全体に服薬管理の重要性を浸透させていくことから始めていきましょう。
また命に関わる重要な業務とわかっていても日々繰り返される業務の一つなので、定期的に意識づけをしていかないと緊張感が緩んでしまう業務でもあります。
服薬管理は、常に集中して臨まないと次のような事故を引き起こす原因にもなります。
- 飲み忘れ
- 飲みすぎ
- 配薬ミス
薬の飲み過ぎや、他の人の薬を間違えて渡してしまう配薬ミスは特に命にかかわるリスクの高いミスです。
こういった事故を引き起こさないためにも、デイサービスでの服薬管理は緊張感を持って丁寧に行わなければいけません。
デイサービスでは現場の実情に合わせて、様々な服薬管理の方法を実施していると思います。
今回の記事では、私のデイサービスで服薬ミスや誤薬を起こさないために実施している方法を中心に紹介していきます。
デイサービスでの服薬管理の7つの手順
初めに私のデイサービスで行なっている、服薬確認の手順を紹介していきます。
その後にそれぞれの項目について、詳しい解説をしていきます。
では、私のデイサービスで行なっている服薬管理の手順は次の通りです。
- 当日の利用者名簿に記載
- お迎え時に必ず確認
- 到着後のダブルチェック
- お一人ずつ名前を呼びながら渡す
- 飲み終えるまで見守る
- 飲み終えたらチェックをつける
- ゴミは2人以上で確認
デイサービスで服薬確認のポイントにしていることは、チェックを怠らずに責任の所在を明確にすることです。
工程を分けて複数回チェックを行い、それぞれの工程で明確に担当者を決めておくことで責任の所在をはっきりさせます。
少ししつこいくらいに服薬の確認をやっているかもしれませんが、ミスを起こさないためには必要な業務だと思っています。
以前まで、服薬ミスは事故全体の割合の7%程を占めていましたが1%以下まで減らすことができています。
では、服薬管理の7つの手順を詳しく解説していきます。
1.当日の利用者名簿に記載
服薬管理は、当日の利用者名簿に記載をするところから始まります。
もう少しかみ砕くと、利用者名簿に前日までに書き込みをしていくという感じですね。
私のデイサービスの場合は、2つの名簿に書き込みをしています。
- 送迎表
- バイタル記録表
送迎表では、送迎に出る前にどのご利用者の薬の確認をしてこなければいけないかを把握するためのものですね。
朝お迎えに出る前に、送迎表を見て「○○様と○○様は薬の確認が必要な方だな」と把握してお迎えに出ることになります。
次の2番の手順で詳しく説明をしていきます。
バイタル表は到着後に薬を持参されたかどうかの確認や、飲み終えた後にチェックをつけるためのものです。
事前に名簿に記載をしておくことで、薬の確認や、後々のチェックに役立ってくることになります。
2.お迎え時に必ず確認
服薬に関しては、ミスを起こさないために朝のお迎え時からチェックを行います。
1番の手順で説明したように、お迎えに出る前に必ず送迎表をチェックして薬を持参するご利用者の把握を行います。
私のデイサービスの場合は連絡帳に薬袋としてチャック付きの袋をとじています。
尚且つ、連絡帳の表紙には薬の種類に合わせて色分けした丸いシールを貼っています。
- 青○=昼食前後
- 赤○=朝食後
- 白○=貼付薬
- 緑○=点眼
のような感じです。お迎えに行って連絡帳をお預かりした時にどの薬の種類が必要な方か分かるような感じですね。
送迎表でもチェックしますが、連絡帳でもチェックできるという2段構えです。
服薬管理が必要な方の薬のやり取りは連絡帳に閉じている薬袋を通して行います。
朝お迎えに行った時には、体調の確認と合わせて薬袋に必要な薬が入っているかどうかを必ず確認します。
お迎えの時点で必要な薬が入っていなかったり、余分な薬が入っている場合にはその場でご家族等に確認するようにしましょう。
ご家族にすぐに連絡が取れない場合には、デイサービスの判断で薬を入れたり減らしたりすることはしません。
一端その状態でデイサービスに持ち出し、デイサービスに到着後に生活相談員からご家族等に連絡を入れてもらうようにします。
薬の準備に不備があった事態も事前に想定しておくといいですよね。
万が一薬の準備に不備があった場合の対応は、契約時などにご家族等に説明をしておくことで職員も安心して対応できますし不要なトラブルを避けることもできます。
3.到着後のダブルチェック
お迎えからデイサービスに戻って落ち着いたタイミングで、薬が間違いなく持参されているかどうかのダブルチェックを行います。
私のデイサービスでは次の2人の職員がチェックを行なっています。
- ホール担当職員
- 看護職員
チェックの方法としては次のような感じです。
最初にホール担当職員が連絡帳の薬袋から薬を出して、ご利用者名が書いてある別のジップ袋に入れ替えます。
この時に、本来の薬が間違いなく入っているか1回目の確認をすることになります。
その後、看護職員が落ち着いたタイミングでジップ袋の薬を確認することで2回目の確認をします。
ここの手順で注意をしなければいけないのが、他の方の薬と混ざってしまわないように必ず1名分ずつ確認を行うことです。
A様の薬を確認したら、B様の薬を確認するという感じで複数名の薬がその場に散乱しないように注意しましょう。
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4.お一人ずつ名前を呼びながら渡す
お昼前には、それぞれの薬(ジップ袋に入れたもの)とコップの水を準備していきます。
いよいよ、ご利用者に薬を渡していくことになります。
ご利用者に薬を渡す職員は看護職員です。
デイサービスでは昼食(直)前や昼食後の服薬の方が多いですが、他のタイミングでの服薬でも渡し方は一緒です。
渡す時には、必ずお一人ずつ名前を呼びながら渡すことがポイントです。
- お一人ずつ
- 名前を呼びながら
この2つが重要なポイントですね。
次の手順でも説明しますが、服薬は飲み終えるところまでの確認が必要になります。
複数人の配薬を一度に行なってしまうと飲んだかどうかの確認がおろそかになってしまいます。
1名分ずつ小さいお盆に薬を乗せて渡すことで、万が一薬を落としてしまった場合にも気づきやすくなりますし薬の飲み忘れ防止にもつながります。
またデイサービスでの配薬では、名前を呼びながら薬を渡すことで別の方に薬を渡してしまうことを防止できます。
名前を呼ぶことで、ご利用者からの返事での確認や薬の袋に書いてある名前と間違いないか確認できるようになります。
5.飲み終わるまで見守る
ご利用者が服薬をしている時には、飲み終えるまでその場を離れずに見守るようにしましょう。
薬を飲み終えるまで見守るのも看護職員の業務です。
デイサービスのご利用者に薬を渡して、その場を離れると次のような事態に気付けない可能性が起きてしまいます。
- 薬を落としてしまう
- 口の中に残っている
- 意図的にポケットにしまう
見守りを怠ると、せっかくここまで薬のチェックを厳重にやってきたことが無駄になってしまいます。
薬を渡したとしても、結果として飲んでいなければ渡さなかったことと一緒なので、必ず飲み終わるまで傍で見守るようにしましょう。
6.飲み終えたらチェックをつける
薬を飲み終えたら必ず名簿にチェックをつけます。
私のデイサービスでは服薬済みのチェックはバイタル表(介護ソフトの物)で管理をしています。
最初の方にお伝えした、2つの名簿の内の1つですね。
基本的に飲み終えるところまでのチェックは看護職員が行なうことになるので、名簿にチェックをつけるのも看護職員になります。
看護職員以外が対応した場合には、対応した職員がチェックをつけて必ず口頭で看護職員に伝えます。
渡し忘れや飲み忘れを防ぐためにも、薬を飲み終えた後のチェックは重要な服薬管理になります。
チェックをつけることで数日分の薬を持参されている場合にも、薬を2回飲むことを防止できます。
7.ゴミは2人以上で確認
服薬を終えた後のチェックの後にやることが、薬のゴミを必ず2人以上で確認することです。
これはどちらかというと、万が一ミスがあった場合にすぐに気づくという部分ですね。
服薬管理は全て人が行ないますので、100%完璧ということはあり得ません。
ここまでの手順でも何度も繰り返しチェックを行なっていますが、ミスは起こるものだと想定しておく必要があります。
薬はお盆に乗せて渡しているので、お盆に残ったごみが確実にその方の物かどうか看護職員とホール職員がチェックします。
必ず2人以上でチェックをすることで次のような利点があります。
- 万が一ミスが起きていた場合にその場で気づくことができる
- ミスを隠すことの防止ができる
2人で以上でチェックすることで、ミスに早く気づいて次の1手に迅速に移ることができるということですね。
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責任を分散させない
服薬に関しては、徹底してここの部分はこの職員がやるというのを決めておくようにしましょう。
要は、そこの手順の中で誰が行なったのか全員がわかる状態にしておくということですね。
担当する職員を決めておくことで、確認作業がスムーズに行えるようになります。
逆に言うと、それぞれの手順の中で担当する職員を明確にしておかないとミスが起きた時の確認がスムーズに行えなかったり、ミスが放置される可能性もあります。
例えばここまで説明した内容で言うと、お迎え時の薬の確認はお迎えに行った職員が行ないます。
ですのでデイサービスに到着後の確認で次のようなことがわかった場合には、お迎えに行った職員に確認をすればすぐに現状を把握できますよね。
- 必要な薬が入っていない
- 余計な薬が入っていた
- 薬の内容が今までと違う
万が一ミスがあった場合には送迎の職員が生活相談員に状況を説明して、ご家族等に確認をしてもらうことになります。
他の部分に関しても、配薬と飲み終えるまでの確認は看護職員、薬があるかどうかのチェックはホール職員と看護職員というようにそれぞれの手順で必ず責任もって行う職員を決めておくようにします。
そうすることで、万が一のミスや不手際があった場合にもすぐに状況の確認ができてその後の対応も迅速に行うことができるようになります。
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万が一、服薬ミスが発覚したらどうする??
細心の注意を払っていても、対応するのは人なのでミスが起きてしまう可能性はなきにしもあらずです。
では万が一、誤薬と呼ばれるような服薬ミスが発覚した場合にはどのような対応をしていくといいでしょうか?
まず基本的な考え方としてデイサービスの現場で判断をすることは絶対にNGです。
誤薬が発覚した場合に看護職員を頼りにしたくなるかもしれません。
ですが、看護職員は医師ではないので診断ができません。その場で「経過観察しましょう」などと判断をすることは絶対に避けましょう。
誤薬が発覚した場合には、すぐに主治医に連絡することを基本的な考え方にしておきましょう。
主治医に連絡をすると怒られるかもしれないと考えるかもしれませんが、職員の一刻の利益よりもご利用者の命が最優先されることは言わずもがなですね。
主治医の判断により、すぐに受診をすることになる場合もありますので指示に合わせて動くようにしましょう。
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まとめ
今回は、デイサービスでの服薬管理に関して、私のデイサービスで行なっている7つの手順を紹介してきました。
デイサービスにおける服薬管理は、ご利用者の命にもかかわる重要な業務です。まずは、その意識を職員全体に浸透させるようにしましょう。
ミスが起きる可能性を限りなくゼロに近づけていく必要があります。
服薬管理は、朝の送迎時に薬の忘れが無いかどうかチェックするところから始まります。
各手順の中で、誰が担当するのかを明確にしておくことでそれぞれの職員が責任をもって服薬管理にあたることができます。
複数回のチェックや、ご利用者が薬を飲み終えた後のチェックまで行うことで服薬ミスの防止や万が一のミスに素早く気づくことができます。
万が一服薬ミスが発覚した場合にも、デイサービスの中だけで判断することはせずに主治医に連絡をするということを念頭に置いておきましょう。
服薬管理はデイサービスの現状によって、できることやできないことがあると思います。
デイサービスでの服薬管理の方法に悩んでいる方は記事を参考にしていただきながら、できる方法を取り入れてみてください。
大事なことはデイサービスで決めた服薬管理の手順を全員が同じようにこなしていくということです!
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