デイサービスを利用したいと考えている方にとっては最初に次のような疑問が浮かぶかもしれません。
- ウチの親はデイサービスに通えるの?
- デイサービスに通える人はどんな人なの?
- デイサービスを利用するにはどうすればいいの?
デイサービスを利用するまでの流れに関しては別の記事でも解説をしているので興味のある方はご覧ください。
今回の記事では、デイサービスはどんな人が利用できるの?というデイサービスの利用条件に焦点を絞ってお伝えしていきます。
- デイサービスを利用できる条件
- 要介護認定の受け方
- 医療行為に該当する物
- 医療行為が必要な場合はデイサービスを利用できないのか
- 要支援や非該当認定の場合はどうしたらいいのか
デイサービスを利用できるかどうか悩んでいる方が利用条件を理解できる記事ですので、是非ご覧ください。
デイサービスはどんな人が利用できるの?
デイサービスを利用できるための条件は2つあります。
- 要介護認定を受けている方
- 医療行為が必要ない方
通常のデイサービスのサービスを受けるには要介護認定を受けていることが最低条件になります。
要介護認定とは要介護1~要介護5の5段階で介護が必要な度合いの認定を受けるということです。
要介護1が介護が必要な度合いが低く、数字が大きくなるほど介護が必要な度合いが高くなります。
要介護1~要介護5の他に、非該当や要支援1、要支援2という認定もあります。
非該当や要支援1又は要支援2の方もデイサービスと同じようなサービス内容を受けられる場合がありますので後ほど紹介していきます。
また、デイサービスでは看護職員(看護職員または准看護師)が働いていますが、実は看護職員は医療行為を行うことができません。
看護職員が行うことができるのは次の2つです。(保健師助産師看護師法第5条より)
- 療養上の世話
- 診察の補助
つまり看護師が独断で医療行為を行うことはできないということですね。
私もデイサービスで働いているとよく医療行為をお願いされることがありますが基本的にはお断りしています。
デイサービスは介護を必要とする方が、目標を持ちながら一日を楽しく過ごすような意味合いが強い場所になります。
ですので、要介護認定を受けていて、医療行為を必要としない方が利用できることになります。
要介護認定を受けるにはどうしたらいいの?
デイサービスに限らず、様々な介護サービスを受けるには要介護認定を受けなければいけません。
介護認定を受けるには、住んでいる市町村の担当窓口に申請する必要があります。
介護申請をすること自体は、本人やその家族が行うことができます。
ですが、様々な事情で本人や家族による申請が難しい場合がありますよね。
その時には、次のところで申請の代行をしてくれます。
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所
地域包括支援センターや居宅介護支援事業所についてはデイサービスを利用するまでの流れの記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
地域包括支援センターや居宅介護支援事業所ではデイサービスの利用に関する調整を行なってくれる専門の職員が働いています。
デイサービスを利用した後でも様々な調整などを行なってくれますので、最初の相談窓口として活用しましょう。
医療行為にはどんなものが該当するの?
高齢者人口の増加から、デイサービスを利用する方のニーズも多様になってきています。
その中にはやはり、日常的に医療行為を必要としている方もいます。
先ほど、医療行為が必要な方はデイサービスの利用ができませんということにも触れました。
では、医療行為に該当する行為とはどのようなものがあるのでしょうか?
医療行為にあたるものと、医療行為ではないとされているものを説明していきます。
医療行為にあたるもの
医療行為にあたるものをあげだすと、キリがないくらい幅広くなってしまいます。
ここでは、デイサービスに相談されるケースで多い医療行為を紹介していきます。
- 適便
- インシュリン注射
- 血糖値測定
- 褥瘡(床ずれ)の処置
デイサービスへの依頼として多いものはこのあたりかなと思います。
特にインシュリンの注射や、褥瘡の処置は依頼されることが多いです。
デイサービスによっては完全に断られる場合や、主治医の指示書の提出があればO.K.としている場合など対応は様々です。
ここに関してはケアマネージャーを通してデイサービスに確認をしてもらうことをおススメします。
医療行為ではないとされているもの
一方で医療行為ではないとされているものには次のようなものがあります。
過去には医療行為とされていたものですが、医療行為ではありませんよと線引きされたものになります。
ポイント
- 腋の下で測る検温
- 自動血圧計による血圧測定
- パルスオキシメーターの装着
- 軽微な切り傷、擦り傷、火傷の処置
- 褥瘡の処置を除く軟膏の塗布
- 湿布の貼付
- 点眼薬の点眼
- 一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)
- 坐薬挿入
- 鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助
ポイントとなるのは、黄色でマーカーラインを引いた部分ですね。
あくまでも条件付きで行なって大丈夫ですよということになります。
そしてこれから紹介する物はデイサービスのご利用者に異常がない状態であれば行なっても大丈夫ですよとされているものです。
- 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去を除く)
- 爪切り、爪やすり
- 歯ブラシや綿棒による口腔のケア(歯、口腔粘膜、舌等)
- ストーマのパウチにたまった排泄物の廃棄
- 自己導尿補助におけるカテーテルの準備、体位保持
- 市販の浣腸器を用いた浣腸
あくまでも、ご利用者に異常がない場合に行なってもいいとされているものです。
例えば爪切りは、爪水虫で爪に異常が見られる場合は医療行為として見られるということです。
また、本人や家族の同意が必要だったり、医師や看護師の指示が必要になるものも含まれています。
医療行為が必要な場合はどうしたらいいの?
では、医療行為が必要な場合はデイサービスに通うことはできないのでしょうか?
実際にはほとんどのデイサービスで、医療行為はNGとしている場合が多いので受け入れを行うデイサービスの数自体は少ないと思います。
ですが、デイサービスによってはスタッフの配置をしっかりと行なったうえで受け入れをしてくれる場合があります。
例えば、スタッフの中に医師がいる場合などは受け入れができる可能性は高いでしょう。
この辺りのリサーチに関しても、担当のケアマネージャーが行なってくれる場合が多いです。
デイサービスに行っている間にどんな医療行為を行なってもらう必要があるのかを、ケアマネージャーに説明したうえで対応してもらうようにしましょう。
他にも例えば、デイサービスではなくデイケアを利用するという選択肢もあります。
デイケアでは、医師が常駐しているため体調不良の場合などに診察を受けることができます。
ただデイケアも治療に重きを置いている場ではなく、できることには限界がありますので事前に確認するようにしましょう
非該当や要支援1、要支援2の場合はデイサービスを利用できないの?
ここまでは、医療行為の必要な方は受け入れができないデイサービスが多いという話をしてきました。
ここからは、介護認定で次の結果が出た方はデイサービスを利用できるのか?ということについてお伝えしていきます。
- 非該当
- 要支援1
- 要支援2
非該当や、要支援1、2の基準を簡単に説明すると以下の通りです。
非該当:自立した生活を送ることができている。
要支援1:基本的には自立した生活ができているが、部分的に介助が必要。
要支援2:食事やトイレは一人で行けるが、片足で立った時にふらついたり、家事や整容に一部介助が必要。
非該当や要支援の認定を受けた場合には、厳密に言うとデイサービスの利用はできません。
ですがご安心ください。
非該当や要支援認定を受けた方でも、デイサービスに通う方法がありますのでお伝えしていきます。
要支援1、要支援2の方がデイサービスを利用するには?
要支援の認定を受けた方は、各市町村が独自で行う介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)という形でデイサービスに通うことができます。
総合事業は要介護認定を受けた方と同じようにデイサービスに通って必要なサービスを受けることができます。
ただし、デイサービスとして営業していても総合事業を実施していないデイサービスもありますので、事前の確認が必要です。
逆に、総合事業だけを行なっている事業所もあり、比較的元気な方が集う場所として営業している場合もあります。
総合事業にはデイサービスに通う通所型サービスも含め以下のようなものがあります。
- 訪問型サービス
- 通所型サービス
- その他の生活支援サービス
- 介護予防ケアマネジメント
総合事業として通所型サービスを利用するにはデイサービスを利用する時と同じように、以下の相談窓口を活用します。
- 市町村窓口に相談
- 地域包括支援センターに相談
- 居宅介護支援事業所に相談
総合事業でデイサービスに通う場合は、通常のデイサービスとは料金設定やサービス内容が異なる場合がありますので事前に確認するようにしましょう。
非該当の方がデイサービスを利用するには?
介護度申請の結果、非該当と認定された場合でもデイサービスに通ってサービスを受ける方法があります。
要支援にも該当しなかった場合にも、総合事業としてデイサービスに通うことができる場合があります。
それは、25個の質問で構成されたチェックリストと呼ばれるもので事業対象者として認定された場合です。
基本チェックリストでは主に次のようなことを把握する質問で構成されています。
- 日常生活関連動作
- 運動器の機能
- 低栄養状態
- 口腔機能
- 閉じこもり
- 認知症
- うつ状態
実は基本チェックリストは、要介護認定の申請をせずとも総合事業の利用を希望する65歳以上の方であればすぐに受けることができます。
相談窓口はやはり、地域包括支援センターや市町村の担当窓口です。
デイサービスを利用したいけど、どうしたらいいかわからない場合にはまずは相談窓口にいってみましょう。
デイサービスを利用できる方法について的確なアドバイスをしてもらえるでしょう。
まとめ
今回はデイサービスを利用するための条件についてお伝えしてきました。
基本的なデイサービス利用のための条件は2つです。
- 介護認定を受けること
- 医療行為が必要でないこと
ただし、医療行為が必要でもデイサービスを利用できる場合があります。
要支援や非該当の認定となった場合でも総合事業の通所型サービスとしてデイサービスに通うことができます。
総合事業の場合は、通常のデイサービスのサービス内容とは違う場合がありますので事前に確認するようにしましょう。
デイサービスを利用するまでには地域包括支援センターや居宅介護支援事業所を活用することで様々な手続きも代行してもらうことができます。
デイサービスを利用する条件に不安を抱えている方は、まずは相談窓口を活用してみましょう!