デイサービスでご利用者との信頼関係を築くのに欠かせないのがコミュニケーションです。
デイサービスで働く職員の中には介護業務は得意なんだけれども、ご利用者とのコミュニケーションの取り方が苦手な職員もいるかもしれません。
ご利用者とうまくコミュニケーションを取ることで、信頼関係を築くことができて安心して利用して頂ける関係作りができていきます。
今回の記事ではデイサービスでのご利用者とのコミュニケーションの取り方について以下の内容をお伝えしていきます。
- ご利用者との会話に入りやすい3つの話題
- ご利用者が理解しやすい話し方のコツ
- ご利用者に安心感を与える話の聞き方
- ご利用者と円滑にコミュニケーションを取る方法
私もデイサービスで働き始めた当初、難しいと感じていたのがご利用者とのコミュニケーションの取り方です。
ですが10年以上のデイサービス勤務経験を経て、ご利用者と信頼関係を築けるようなコミュニケーションの取り方を身に着けてきました。
今回の記事では、すぐに実践できるようなコミュニケーションの取り方も紹介しています。
デイサービスでご利用者とのコミュニケーションの取り方が消極的になってしまう職員は是非今回の記事をご覧ください。
最初の一歩を踏み出して、ご利用者に安心感を与えられるようなコミュニケーションの取り方を実践していきましょう。
戸田久美さんのコミュニケーション大百科ではイラストや図解でコミュニケーションがわかりやすく解説されています!!
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デイサービスでのご利用者とのコミュニケーションの重要性
色々とお伝えしていく前に、デイサービスでなぜご利用者とのコミュニケーションが必要なの?という部分をお伝えしていきます。
今回の記事を読んでいただくうえで、大事な前提条件となる部分ですのでぜひご覧ください。
一般的にコミュニケーションがなぜ必要なのかという話をすると、よく聞くのが次のような答えではないでしょうか?
- 意思の伝達
- 相互理解
- 信頼関係の構築
もちろん、これらのことはコミュニケーションの重要性として間違っていないです。「信頼関係を作るためにコミュニケーションを作るんだよ」と言われると妙に納得するかもしれません。
ですが、デイサービスでのコミュニケーションの重要性に焦点を当てるともう一歩踏み込んで考えたいですね。
「なんで、デイサービスでご利用者と信頼関係を作る必要があるの??」とあえてひねくれた疑問を持って考えてみましょうということです。
私が10年以上のデイサービス勤務経験の中で出した答えは、必要な方に必要なサービスを届け続けるためです。
デイサービスのご利用者があなたのデイサービスを利用されているということは、あなたのデイサービスでなければいけない理由があったということですよね?
つまり、あなたのデイサービスは今利用されているご利用者にとって必要とされているデイサービスということになります。
あなたのデイサービスを必要としているご利用者に、長く通い続けていただくためにコミュニケーションで信頼関係を作っていく必要があるという考え方です。
逆にコミュニケーションが不足していて信頼関係が作れないデイサービスは、せっかくあなたのデイサービスを必要として利用された方がすぐに利用を辞めてしまうことにもなります。
必要な方に必要なサービスを届け続けられないデイサービスということですね。
今回の記事では、必要な方に必要なサービスを届け続けるためにコミュニケーションが必要ですよという前提のもと記事を書いています。
ぜひ最後までご覧ください!
ご利用者との会話に入りやすい3つのオススメ話題
次に紹介するのは、デイサービスでご利用者との会話に入りやすい3つのオススメ話題です。
デイサービスでご利用者とコミュニケーションを取る時に意外と悩むのが会話の入り方です。
一番最初にどんな話題をコミュニケーションの導入に使ったらいいのか悩む方も多いかもしれません。
会話の入り方に関しては私自身もすんなり出てくることもありますが、反対に今日のAさんにはどんな話がいいかなと悩む時もあります。
紹介する3つの話題はオススメとは言うものの、実際に私が自分の会話を思い返した時に「ほとんどこの3つから会話を始めているな」と思ったものです。
つまり私の会話の入り方を紹介する感じです。。。(はいそこ!興味ない顔しない!!)
- 天気や気温の話
- ご利用者特有の出来事
- 時事ネタ
私の場合はほとんど、この3つの話題から会話を始めていると思います。
正直なところ会話やコミュニケーションの始め方に正解はありませんが、会話の入り方に悩むデイサービスの職員はぜひ参考にしてみてください。
では、詳しく解説していきます。
天気や気温の話
天気や気温の話は、私自身ヘビーローテーションで使っています。
天気や気温の話はご利用者との会話やコミュニケーションにも、違和感なく入ることができます。
日本は四季がハッキリしていますので、天気や気温の話は特に使いやすいのかなと思っています。
寒い日が続けば「毎日寒いですけど、部屋は温かくしてますか?」とか、
雪が降れば「ついに、来ましたねぇ。。誰に許可を得て降らしてるんでしょうかねぇ?」とか、
天気や気温の話は、話の展開を広げやすくて使いやすいです。
正直、天気や気温の話から会話を始めておけば間違いないような感じもしています。
特に、デイサービスに入職したばかりでご利用者の情報もあまり分からないような時にはかなりオススメできる方法です。
ですが天気や気温の話には会話への入りやすさだけでなく、もう一つ利点があります。
それは、ご利用者の体調確認もついでに行えてしまうことです。
例えば「毎日、暑くて嫌になっちゃいますね。体はついていってますか??」のように『天気+体調確認』の感じで会話に入ることができます。
そうすると、やはり色々なところに話の展開を持って行きやすくもなりますので天気や気温の話は体調確認とセットでコミュニケーションの導入に使ってみるといいでしょう!
ご利用者特有の出来事
ご利用者特有の出来事も会話に入りやすい話題の1つと言えます。
ご利用者特有の出来事とは例えば次のようなものがあります。
- 通院に行く
- 美容室に行く
- ご家族と外食に行く
- 孫が遊びに来る
- 温泉に泊まりに行く
例えば、前回のデイサービスご利用の時に「明後日、美容室に行ってくるの」と教えてもらっていたとします。
そうするとそのご利用者の次のご利用は、美容室に行った後ということになりますよね?
見た目で明らかに変化があれば「あっ、行ってきましたね。ますますつやつやになってきましたねぇ」などと声をかけることができます。
職員側から話題を振るには、事前に情報を得ておく必要もありますので職員間での情報共有も重要になりますね。
事前に情報を仕入れておいたり、ご利用者の小さな変化に気付けるということもコミュニケーションの導入には必要な力になります。
時事ネタ
時事ネタも、デイサービスの職員が誰でも使いやすくご利用者への話題も提供しやすいです。
地域を問わず、時事ネタになるような話題は毎日生まれています。
この記事を書いているのは令和4年12月ですが、今の時事ネタで言えばサッカーのワールドカップですね。
高齢者だからスポーツに興味を持っていないかというと決してそんなことはありません。
試合を見ていないにしても、ニュースや新聞で結果を見ているご利用者は意外と多いものです。
「サッカー凄かったですねぇ」と言ってみると「朝のテレビで見たけど、あの子若いのに大したもんだなぁ」とご利用者らしい視点で返事が返ってきます。
スポーツに限らず、時事ネタは幅広く色々な話題があります。
特にデイサービスのご利用者はラジオ・新聞・テレビなどを通して「そんなことまで知ってるの?」と逆に職員が驚くくらい情報収集していることもあります。
デイサービスの職員が振った話題でも、かえって自分の知識量を増やすことにもなります。
朝の出勤前に何となく見たニュースなどでも、意外と会話は広がったりしますのでポンと会話を振ってみることもオススメです!
ご利用者が理解しやすい話し方の3つのコツ
ここまでは、デイサービスで会話に入りやすいオススメの話題を紹介してきました。
ですが、いくら話題を提供してもご利用者に聞こえていなかったり、理解できていなければ円滑にコミュニケーションをとることができなくなります。
そこでデイサービスでご利用者が理解しやすい話し方のコツについてお伝えしていきます。
今回紹介する、話し方のコツは次の3つです。
- 低い声でハッキリとやや大きめの声で話す
- 表情豊かに話す
- 開いた質問と閉じた質問を使い分ける
コミュニケーションをとる上での技術的な部分も含めてお伝えしますが、そこまで難しい内容ではありません。
すぐに実践できるようなご利用者との話し方のコツですのでぜひご覧ください!
デイサービスの接遇マナー向上の方法の記事でも紹介しているような内容ですので、あわせてご覧いただければと思います。
低い声でハッキリとやや大きめの声で話す
デイサービスでご利用者と話す時には、低い声でハッキリとやや大きめの声で話すことで話が伝わりやすくなります。
実際に私のデイサービスでも、女性職員よりも男性職員の方が電話での声が聞き取りやすいとおっしゃるご利用者がいます。
これは話し方どうこうの問題ではなく、声が高いか低いかということですね。(合唱で言うとソプラノかバスかみたいなことですかね)
高齢者は一般的に次の音が聞き取りづらくなると言われています。
- 高い音
- 小さい音
- 大きすぎる音
この辺りは、個人差がありますのでご利用者ごとに話し方を変えなければいけない部分でもあります。
一回や二回で全てのご利用者に適した話し方を見つけるのは難しいと思います。
ですが、大事なことはそのご利用者に合った話し方を探し続けるということですね。
○○さんは私の声を聞き取りづらそうだから、別の職員に任せようと諦めたら○○さんとのコミュニケーションはそこで終わってしまいますよね?
デイサービスのご利用者と信頼関係を築くには繰り返しコミュニケーションを取ることが重要になってきます。
いつも自分の声が聞き取りづらそうだなと思うご利用者に対しては、声のトーンを落として、一語ずつハッキリと、やや大きめの声で話すことで伝わりやすくなるかもしれません。
表情豊かにジェスチャーも混ぜて話す
特に、声や音を聞き取りづらいご利用者には表情豊かに、ジェスチャーも交えて話すようにしましょう。
非言語的コミュニケーションと言われるようなことですね。
今はマスクを着けて仕事をしているデイサービスの職員がほとんどだと思います。
マスクを着ける前までは声や音が聞き取りづらくても、口の動きなどからなんとなく職員が言っていることを理解できていたご利用者も多いと思います。
ですが、マスクを着けるようになってからはご利用者が口の動きで言っていることを理解することはできなくなっています。
そうなった時に、ご利用者はどこで職員の話や感情を理解するかというと表情やジェスチャーです。
- 明るい話なのか
- 何かの説明をしているのか
- 注意されているのか
声や音を聞き取れないご利用者が、今どんな話をされているのかを把握する材料はあなたの表情とジェスチャーです。
表情は目元で表現をする部分が大きくなります。(表情は接遇マナーの記事でも触れていますので合わせてご覧ください)
表情にメリハリや抑揚をつけたうえで、伝わるようなジェスチャーを交えて話すことでご利用者にも話が伝わりやすくなります。
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関連【ノウハウ伝授!】デイサービスの接遇マナー向上3つの方法と向上のメリットを解説!
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開いた質問と閉じた質問を使い分ける
『開いた質問』と『閉じた質問』はコミュニケーションの場面でよく使われる言葉です。
開いた質問と閉じた質問の線引きは人によって変わることもありますが、ここでは「はい」か「いいえ」で答えられるかどうかで分けていきます。
閉じた質問はクローズドクエスチョンと呼ばれます。「はい」か「いいえ」で答えられような質問のことです。
例えば「リンゴは好きですか?」や「夏は好きですか?」のような質問は閉じた質問になります。
反対に開いた質問はオープンクエスチョンと呼ばれます。回答範囲に制限が無いような質問のことです。
例えば「好きな果物は何ですか?」「リンゴをどう思いますか?」のような質問は開いた質問になります。
開いた質問と閉じた質問は、デイサービスでのご利用者とのコミュニケーションでも使い分けることできます。
デイサービスのご利用者によっては開いた質問にうまく答えられない方もいますよね?
例えばよく見かける場面ですが「今日の朝は何を食べましたか?」と聞いても「何食べたっけかなぁ」と答えられるようなことがあります。
ですが、閉じた質問で「今日の朝はお魚でしたか?」と質問をすると「いや、今日は目玉焼きだった気がするなぁ」と本当かどうかはさておき違った答えを得られることもありますよね。
場面によっての使い分けになりますが、開いた質問でうまく答えられない場合には、閉じた質問を数回繰り返すことで求めている答えを得られる場合もあります。
特に、デイサービスで相談援助に関わる生活相談員は覚えておいて損はないでしょう。
ご利用者に安心感を与える話の聞き方4つのポイント
ここまでは、どちらかというとデイサービスの職員からご利用者への伝え方にポイントを当ててお伝えしてきました。
ここからは、デイサービスご利用者からの話を聞く時のポイントをお伝えしていきます。
紹介するのは次の4つのポイントです。
- 目線合わせる
- 適度に相槌を入れる
- 中立的な立場になる
- 沈黙も話の一部だと理解する
デイサービスでご利用者とのコミュニケーションは職員の話を伝えることよりも、ご利用者の話を聞くことの方が重要ですね。
もう少しかみ砕いて言うとご利用者から「自分の話を聞いてもらっている」と感じてもらうことが大事ということです。
話の聞き方をないがしろにすると、ご利用者やご家族は「あそこの職員は話を聞いくれない」と思って、話しづらいと感じてしまったり、話すことをあきらめてしまうことにもつながります。
ここで紹介する話の聞き方の4つのポイントだけでなく、普段からの信頼関係づくりなどももちろん重要です。
ですが、ポイントを理解してご利用者の話を聞けるかどうかは信頼関係を作るうえでの土台にもなります。
目線を合わせる
話を聞く時の、一番の基礎になる部分と言ってもいいのが目線を合わせることです。
目線を合わせて話を聞くことができていないと、この後に紹介することをいくらやっても信頼関係を作っていくということにおいては効果が薄いと思います。
目線を合わせて話を聞くことは、いつも意識をしてやっておいたほうが良いポイントです。
ここでいう目線を合わせるとは、次の2つの観点で言っています。
- 物理的に目線を合わせる
- 心理的に目線を合わせる
コミュニケーションの技術というよりは、ご利用者とのコミュニケーションの土台になる部分です。
ここだけは、必ずわかっておいた方がいい部分ですので詳しく解説していきます。
物理的に目線を合わせる
まず物理的に目線を合わせるですが、デイサービス職員とご利用者の目の高さをできる限り合わせるという意味です。
例えばご利用者が座っているのに、職員が立ちながら話をすることはご利用者に威圧感を与えることにもなります。
レクリエーションとかで皆さんに何かを伝える時にはあり得る状況ですが、1対1で話をするような時には目線を合わせて話を聞くようにしましょう。
目線を合わせて、時間を確保したうえで話を聞くことでご利用者も話を聞いてもらえていると安心感を持つことができます。
人によっては、常に目を合わせて話を聞くのが苦手という人もいると思います。ですが目線を合わせることと、目を合わせることは別の物と考えるようにしましょう。
こんな記事を書いている私も実は、常に目を合わせて話をすることはめちゃくちゃ苦手です。
目線を合わせているからといって、常に目を合わせておく必要はありません。
ご利用者の話を聞きながらも、こちらも話の内容を整理しながら考える必要もありますよね?
私の場合は、考える時には視線を斜め上に持って行ったり、ご利用者の手の動きに注目することもあります。
その方が、ご利用者の話がスッと自分の中に入ってきますし、ご利用者もずっと目を見られているよりは話しやすいのかなと思っています。
デイサービスの業務の中でご利用者といつも、目線を合わせて話ができるかというとそうではないかもしれません。
ですが、標準を目線を合わせて話をすることに設定しておくことでできる限りその機会を多く持つことができるようになります。
あくまでも大事なことは、目の高さを合わせて話を聞き、話を聞いているという姿勢をご利用者にわかっていただくということです。
心理的に目線を合わせる
次に心理的に目線を合わせるについてですが、言葉を変えると相手の立場になって話を聞くとも言えます。
先ほどまでお伝えしてきた、物理的に目線を合わせることは誰でも簡単にできますよね?
ですが、心理的に目線を合わせることはやってみると意外と難しい。そして相手によって変わるのでさらに難しい。
場数をこなして習慣づけていく必要がありますが、習慣づいたからと言って必ず上手く行くものでもない。
相手の立場になるというのは言葉で言うほど簡単なものではないですね。
とはいえ、心理的に目線を合わせるために私が心掛けていることがありますので紹介しておきます。
それは、相手がなぜその話を今、私にしたのかを考えることです。
これを何回も何回も積み重ねていくことで、心理的に目線を合わせる癖がつくようになります。
適度に相槌を入れる
デイサービスでご利用者の話を聞く時には、適度に相槌を入れることも話の聞き方のポイントになります。
適度にという部分がポイントですね。
ご利用者の話を聞く時には、全てを受容しなければいけないという思いが芽生える方も多いと思います。
その思いから、どうしても頷きの回数が無駄に多くなったり、「はい、へぇ、なるほど」のような単純相槌と呼ばれるものだけが多くなる傾向にあります。
相槌の回数が多かったり、相槌が単調になると相手は「本当に話を理解して聞いているのかな?」と不安になります。
話を聞いているとアピールするために相槌をうったのに、相手に不安を与えてしまうのはもったいないですよね。
相槌のタイミングや、相槌のバリエーションを知っておくだけで相手に安心感を与える話の聞き方ができるようになります。
では、相槌の適度なタイミングと相槌のバリエーションについて詳しく解説していきます。
相槌の適度なタイミング
先ほどもお伝えしたように、相槌が多すぎるとご利用者は「本当に自分の話を聞いているの?」と不安を感じてしまいます。
逆に適切なタイミングで相槌を入れることができると、ご利用者は気持ちよく話すことができて「あなたに話してよかった」とも思ってもらえる可能性があります。
デイサービスでのコミュニケーションで私が意識している相槌のタイミングは次の通りです。
- 句読点(、や。)のタイミング
- 言葉に詰まった(悩んだ)タイミング
主にこの2つのタイミングで相槌を入れるようにしています。
ご利用者が話している間中ずっと頷きながら話を聞いたり、話の全てに同意するような相槌は機械的に感じられたり、本当に話を聞いているかな?と不安感を与えることにもなります。
ご利用者が言葉に詰まったり悩んだりした時に相槌は必ず入れればいい訳でもなく、少し難しい場合もあります。
後ほどにもお伝えしていきますが、ご利用者とのコミュニケーションでは沈黙の時間も意味がある時間です。
次の言葉が出てこないだけなのか、それとも沈黙の時間なのかは見極める必要があるでしょう。
相槌のバリエーション
では、次に相槌のバリエーションにはどのようなものがあるのか簡単に紹介していきます。
単純な相槌になりがちな方はぜひご覧ください。
1つ目が単純な相槌です。「はい」「うん」「なるほど」「へぇ」「そうなんですね」「たしかに」などが該当します。
デイサービスでご利用者とコミュニケーションを取る時には恐らく一番多く使うであろう相槌ですね。
2つ目がうなずきです。言葉の通り、話を聞きながらうなずくということですね。
言葉を発することなく使えるのでご利用者の話を邪魔することなく、話を受け入れていることを表現する手段として使うことができます。
頷きは表情と合わせて使うことで、より相手に伝わりやすい相槌になります。
3つ目が要約です。話をまとめたり、わかりやすく言い換えるということです。
ご利用者がデイサービスの職員に悩みを打ち明けるような場面では、主となる話だけではなくその周辺にある他人への愚痴や生活への不安などに話が広がっていくことがあります。
話が広がりすぎると、話を聞いている自分自身も考えがまとまらなくなります。
話を聞きながら重要な部分はどこなのかを、頭の中でまとめて一言で「○○ということですか?」と要約できることが理想です。
経験や場数が必要になる相槌です。
4つ目が繰り返しです。相手の言葉を繰り返すということです。バックトラッキングと呼ばれることもあります。
例えば「昨日、○○病院に行ってきた」と言われた場合に「○○病院ですか」と繰り返す感じですね。
繰り返しには、相手が共感してもらっている、関心を持って聞いてくれていると感じる効果もあります。
また、繰り返しの相槌を適度に使うことで話題に広がりが生まれ、よりコミュニケーションを深く図れるようにもなります。
5つ目が感情を伝えるです。ここで言う感情とは2つあります。
- 自分の感情
- 相手の感情
ご利用者の話を聞いたうえで、自分がどのように感じたか伝えることと、
ご利用者がどんな感情を持っているか(持ったか)を推察して伝えることです。
「話を聞いていると、私まで嬉しくなってきました」
「その体験をされた時は、とても悲しかったんじゃないですか?」のような感じですね。
気持ちや感情の共感ができると、相手に与える信頼感の面でもグッと距離を縮めることができるようになります。
中立的立場になる
意外と気をつけなければいけないのが、中立の立場で話を聞くということです。
言い方を変えると、審判をしないということです。デイサービスでは、よく否定しないということを聞きますよね?
ですが否定をしないあまり、他の誰かを陥れるような会話にならないように気をつけましょう。
例えばデイサービスで多いのが、ご利用者がご家族の愚痴をこぼすことです。
「ウチの息子が何も手伝ってくれないんだ」というご利用者からの発信対して、あなたならどういう返しをしますか?
- A「そうなんですね○○さんも悩まれているんですね。何も手伝わないなんてダメな息子さんですね!」
- B「そうなんですね○○さんも悩まれているんですね。息子さんとしては○○さんが元気でいられるようにあえてそうしているのかもしれないですね」
Aの場合は、ご利用者の発信だけを受け入れ、ご利用者の息子さんを悪者にすることになってしまいます。
ですが、Bの場合はご利用者の発信を受容したうえで、息子さんの行動も否定していません。
何よりも、ご利用者からすると身内のことは自分では言っても他人から悪く言われたいと思わないのが一般的な感覚ですよね。
中立的な立場で話を聞かないと、不要なトラブルを生む原因にもなります。
例えば、先ほどのAの会話をご利用者が自宅に持ち帰ったらどうなるでしょうか?
ご利用者が息子さんに対して「デイサービスの職員もお前のこと『ダメな息子』って言ってたぞ」なんて会話をされていたらゾッとしますよね。
もちろん身内の話に限らず、例えばケアマネージャー、買い物先の店員、業者などの愚痴をご利用者がこぼした場合であっても一緒です。
デイサービスの職員は裁判官や警察ではないのであくまでも常に中立的な立場で話を聞くクセをつけておきましょう。
沈黙も会話の一部だと理解する
ご利用者とコミュニケーションを取っている時には沈黙の時間も会話の時間と思うようにしましょう。
沈黙が発生すると間を埋めなくちゃいけないと思って職員から何かを発信してしまうこともありますよね。
ですが、ご利用者とのコミュニケーションにおいては沈黙も大事な時間になります。
- 思い出している
- 考えている
- 話すかどうか悩んでいる
- 話すつもりがない
先ほど、相槌の適度なタイミングの項目でも少し触れたのですが、言葉が詰まっているだけか上記のような沈黙なのかはなかなか見分け方が難しいです。
沈黙についても、ご利用者によって違うので一概には何とも言えない部分ではありますが沈黙があったとしても数秒は待つような意識は持っておきましょう。
沈黙に関しては、私も生活相談員になったばかりの時に次のような印象的な経験をした時がありました。
事例紹介
デイサービスに初めて来られた男性のA様でしたが、入浴時に不手際があり「もうデイサービスにはいかない」と言っているとご家族から連絡が入りました。
ケアマネージャーにも報告をしたうえで、管理者と私ともう一人の生活相談員Xの計3名で謝罪に行くことになりました。
謝罪の主導は管理者が行なうことになり、私とXは管理者が謝ったタイミングで一緒に謝るというような感じでした。
謝罪をしている間にもA様からは「俺は絶対にもう行かない」と何度も発信があるだけでした。
ですが、局面と言える場面を迎えました。
管理者「私たちも今後同じことが無いように気を付けてまいりますので、今後もデイサービスをご利用いただけませんでしょうか?」という旨の発信をA様にしました。
A様「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
体感にして5分以上の沈黙の時間があったように感じました。(実際は1分くらいだと思いますが。。。)
私とXは目で「大丈夫かな?何か喋ったほうがいいかな?」のようなアイコンタクトを取りながら私は変な汗をかいていました。
ですが管理者は目を逸らすこともなく、まっすぐA様の方を見つめていました。
体感5分の沈黙の後A様が口を開いてこう言いました「2回目は(同じことが)ない事を信じて、次も行ってみる」
あんなに「絶対に行かない」と言っていた人が「行ってみる」なんていうはずがないと思っていた私とXはここでまた目が合いました。
当時、私にはなんでそんなことが起きたのか全く分かりませんでした。
帰りの車の中で管理者から「ああいう沈黙の時間が心の中にある声を聴けるチャンスなんだよ、イチかバチかだったけどね」と笑いながら話された経験は今でも事あるごとに思い出します。
事例が長くなってしまいましたが、デイサービスでご利用者とコミュニケーションを取る時には沈黙も会話の一部であるということも意識しておきましょう!
ご利用者と円滑にコミュニケーションをとるには?
ここまでは、デイサービスご利用者とのコミュニケーションについて、話し方や聞き方をお伝えしてきました。
少しコミュニケーションの技術的な部分も交えながらお伝えしました。
ここからは、デイサービスでご利用者と円滑にコミュニケーションをとるための方法として、心構えについてお伝えしていきます。
ご利用者と円滑にコミュニケーションをとる方法としてお伝えするのは次の2つです。
- ご利用者のことを知ろうとする
- コミュニケーションを積み重ねていく
介護現場全般、デイサービスも例外ではなく対人の仕事ですよね。
ですので、人を知ることと関わることを繰り返すことが信頼関係の構築につながり円滑なコミュニケーションにつながっていきます。
ご利用者のことを知ろうとする
ご利用者のことを知ろうとすることは、デイサービスでのご利用者とのコミュニケーションの「初めの一歩」と言ってもいいかもしれません。
そして、デイサービスでご利用者と円滑にコミュニケーションをとって信頼関係を築くための必須スキルです。
コミュニケーションを図るうえで高度なテクニックや技術を使うよりも先に、ご利用者のことを知ろうとすることが大事になります。
ご利用者のことを知ろうとするとはどういうことかというとご利用者に興味を持って関わるということですね。
- どんな趣味があるのかな?
- どんな人生を歩んできたのかな?
- どんな生活をしているのかな?
どんな視点でもいいからご利用者に興味や関心を持って関わるようにしましょう。
そうすることでご利用者から、あの職員はいつも興味を持って自分のことを聞いてくれると思ってもらえるようになります。
逆に興味や関心を持たずにご利用者と関わる職員は、ご利用者の話を聞いている時にも態度に現れるようになります。
別の業務を行ないながら片手間に話を聞いたり、「はい、はい」とそっけない返事をしたりと周りの目から見ても注意したくなるような態度が現れます。
その結果、あの職員には話しても聞いてもらえないと思われるようになりご利用者との信頼関係を築くことも難しくなります。
コミュニケーションを積み重ねていく
円滑にコミュニケーションを取る方法でコミュニケーションを積み重ねるってなんやねんという声も聞こえてきそうですが。。。
コミュニケーションの取り方が上手い下手に関わらず、毎回毎回コミュニケーションを積み重ねていくことは大事です。
というよりも、毎回毎回コミュニケーションを取り続けることでコミュニケーションの取り方が上手くなっていきますし、ご利用者との信頼関係も築けていけます。
私自身、デイサービスで働き始める前までは高齢者の介護現場は全く未知の世界でした。
ご利用者と1対1で話をする時に、まずなんて声をかけたらいいのか全く分からなかったですね。。。
ですが不器用ながらも積極的に声をかけ続けることで、ご利用者から自分の名前を呼んでもらえるようになってきます。
次第に「なひのひさん、慣れてきたか?」とか「なひのひさんがいるから来てるんだからな」と社交辞令でも言っていただけると、それだけで嬉しい気持ちになります。
今では私もデイサービスである程度の経験を重ねてきました。
デイサービス管理者の目線で言うと、ご利用者との関わりに消極的な職員はご利用者から名前をなかなか覚えてもらえなかったり、いざという時に頼りにしてもらえない傾向があるように思います。
ご利用者にとって現場の職員が一番身近な存在になって名前を呼んでもらって頼りにされることは管理者としても嬉しいですし、良い現場なのかなとも思っています。
まとめ
今回は、デイサービスでご利用者と信頼関係を築けるコミュニケーションの取り方をお伝えしてきました。
デイサービスでご利用者と信頼関係を築いていくにはコミュニケーションを取ることが必須です。
会話の入り方に悩む方におススメの話題は天気や気温の話、時事ネタ、ご利用者特有の話題です。
デイサービスでご利用者と話す時には、次のようなことを意識しましょう。
- 非言語的コミュニケーションを取り入れる
- 開いた質問と閉じた質問を使い分ける
- 適度な相槌を入れる
- 中立的な立場で話を聞く
- 沈黙も会話の一部だと理解する
コミュニケーションの取り方は1日や2日で上達する物ではありませんし、ベテランの職員でも意外と色々と考えながら行なっているものです。
大事なことは、苦手だからとあきらめずにご利用者と繰り返しコミュニケーションを取っていくことです。
繰り返しコミュニケーションを取ることで、ご利用者との信頼関係を築くことができて自分の自信にもつながっていきます!
今回の記事を参考にしていただきながら、積極的にご利用者とのコミュニケーションを取っていきましょう!