介護サービスを利用している、またはこれから利用する場合に担当者会議というものが開催されます。
担当者会議では介護サービスの関係者がご利用者宅などに集まって情報の共有を行います。
ご利用者やご利用者のご家族にとって、自宅に人が来るということはお茶やお菓子を準備しなければいけないの?と疑問を持つかもしれません。
私はデイサービスの職員として約10年にわたり多くの担当者会議に出席してきました。
そんな私の見解として先に結論を言うと、担当者会議でお茶やお菓子の準備は必要ありません。
今回の記事では担当者会議とは何かを踏まえたうえで、なぜ担当者会議でお茶やお菓子を準備する必要がないのかその理由をお伝えしていきます。
また、例外としてお菓子を準備してもいい場合についても最後の方でお伝えしています。
ぜひ最後までご覧いただき参考にしてみてください!
担当者会議とは情報共有の場
担当者会議は正式にはサービス担当者会議というものです。担会やサ担などと省略して呼ばれることもあります。
担当者会議が開催されるタイミングはいくつかあります。
- 新しく介護サービスの利用を開始する時
- 介護保険証の有効期間が更新される(た)時
- ご利用者の状況に変化があってサービスの見直しが必要な時
担当者会議では様々なタイミングで介護サービスのスタッフが集まって話し合いをする場になります。
担当者会議が開催される目的は、ご利用者に関わる情報の共有という部分が大きいです。
新しく介護サービスの利用を開始する時には、担当者会議が終わった後に契約書類の交わしなども必要になります。
初めに担当者会議の目的やご利用者やご家族の役割、開催される場所についてお伝えしていきます。
担当者会議の目的は情報の共有
担当者会議が開催されるタイミングは先ほどお伝えした通りです。
いずれのタイミングで開催された場合でも、担当者会議の大きな目的はご利用者に関わる情報の共有です。
ご利用者に関わる情報には次のようなものがあります。
- 介護サービス等の利用の計画(ケアプラン)
- 介護サービスの利用状況
- 自宅での生活状況
- 身体や精神状況
- 家族等との関係
担当者会議が開催される段階では、担当のケアマネージャーがご利用者の情報を既に把握している場合がほとんどです。
ケアマネージャーは担当者会議に間に合うようにケアプランの原案を作成していますので、ほとんどの場合はケアプランを基に話合いをしていくことになるでしょう。
ケアプランには主にどんな生活目標を持って、どんな介護サービス等をどういう風に利用していくかが書かれています。
サービスを提供する事業所は、他の介護サービスやケアマネージャー、ご利用者・ご家族との認識のズレをなくすために情報の共有が必要になるということです。
担当者会議でのご利用者やご家族の役割は情報を伝えること
担当者会議においてのご利用者やご家族の役割は自分たちの情報をできる限り正確に伝えることです。
ご利用者やご家族が初めて担当者会議に出席する場合は、初対面の人も多く緊張してしまうかもしれません。
ですが担当者会議では、関係するサービス事業所等との日程調整や当日の司会進行もケアマネージャーが行なうことになります。
担当者会議ではご利用者やご家族が積極的に何かを喋るというよりは、次のことを伝える場になることがほとんどでしょう。
- 情報の訂正
- 情報の追加
- サービス事業所からの質問に対しての答え
ご利用者やご家族の役割としては、上記のような自分たちの情報をサービス関係者に正確に伝えることになります。
例えば、ケアマネージャーが介護サービス事業所に伝えた情報で修正が必要なことや、追加で伝えておいた方が良さそうなことなどですね。
また、サービス事業所からは実際にサービス提供を想定した質問をされますのでご利用者本人の状況を答えることになります。
デイサービスの場合でいうと主に次のような情報を確認します。
- 食事の好き嫌い、アレルギーや薬の関係での禁止食品
- 歩行状態
- 浴槽の跨ぎが可能か
- トイレには1人で行けるか
突発的に聞かれるような質問もありますので分からない場合は「分からない」と正直に答えていただいて全く問題ありません。
担当者会議は生活の場で開催される
担当者会議開催の場所はその時にご利用者がどこで生活をしているかによって変わります。
担当者会議は主に次の場所で開催されます。
- ご利用者の自宅
- 入院中の病院
- 入居中のサ高住など
担当者会議は、ご利用者の自宅で行われる場合がほとんどです。
ですが入院をしている場合には、退院時期に合わせて入院中の病院で開催されることもあるでしょう。
また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などに入居している場合は、サ高住で開催されます。
担当者会議でお茶やお菓子を準備する必要ない
担当者会議の日程が決まると、ご利用者やご家族は「お客さんが来るからお茶菓子やお菓子を準備しないと」と気が揉めるかもしれません。
結論からお伝えすると、担当者会議でお茶やお菓子を準備する必要はないです。私の個人的な意見を言うとむしろ準備されないほうがありがたいです。
私が担当者会議に出席した経験の中で一番驚いたのは、担当者会議中に出前のお寿司が届いてそれが自分の目の前に運ばれてきた時です。
あれは、特上だったんじゃないかなぁ。。。目がテンになるとはまさにこのことかと後になって思いました。
そういえば、
昔々、
担当者会議の時に
出前のお寿司を出されたことがあった(´д`)— nahinohi (@nahinohi) November 1, 2022
正直なところ、担当者会議でお茶やお菓子を準備するしないに正解があるわけではありません。
私が約10年間、デイサービスの職員として担当者会議に出席してきた経験を基に担当者会議にお茶やお菓子が必要ない理由をお伝えしていきます。
- 限られた時間の中で話し合う
- 事業所によっては頂き物を徹底的に禁止している
- コロナ禍で人が集まる場での飲食禁止
サービス事業者側からの目線になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
限られた時間の中で話し合う
先ほどもお伝えしたように、担当者会議の主な目的は情報の共有です。そして担当者会議には、延々と時間を使えるわけではありません。
デイサービスの場合だと送迎の時間が迫っていたり、訪問介護の場合は次の方のサービス提供までの合間を縫っている場合もあります。
サービス事業所側としては、そうのような限られた時間の中でできる限り多くの情報を収集したいと思っています。
そうなると実際に担当者会議では、飲食をできる時間はほとんど取れないのが現状です。
言葉を変えると、飲食している時間があるなら現場職員に伝えられる情報を一つでも増やしたいと思っているということです。
またお茶を頂くことでトイレが近くなり、現場でのサービス提供に影響が出てしまうことにもなります。
事業所によっては頂き物は徹底的に禁止している
事業所によっては、頂き物を徹底的に禁止している場合があります。
禁止している理由は様々です。
介護サービス事業所は、ご利用者からの料金負担だけでなく国からの入金があって成り立っています。
公務員というわけではありませんが、国のお金を使う以上は頂き物はできないと考える事業所もあります。
私が以前に担当者会議に出席した時に次のような出来事がありました。
頂き物は徹底的に禁止しているX事業所で働くAさん。そのAさんに対してお茶とお菓子を勧めるご利用者のご家族。
Aさんは「禁止されているので」と断るものの、それでもお茶とお菓子を勧めるご家族。
それにも「すみません、禁止されていて頂けないんです」と断るAさん。
ラリーを数回繰り返した時に「あなたのX事業所ではそんな融通もきかないのか!!」とブチギレるご家族。
しぶしぶお茶とお菓子を頂くAさん。
私は当時、このやりとりを傍観しながら「誰が幸せになんねん」と思っていました。
事業所で頂き物を禁止している場合には、担当者会議に出席しているスタッフの意思で決まり事を破るわけにはいきません。
むしろお茶やお菓子を出すことで、相手を困らせることにもなります。
基本的にはできる限り頂き物はしないでねと考える事業所が多いです。
ですので、最初からお茶やお菓子を準備しないほうがお互いの為にもなります。
コロナ禍で人が集まる場での飲食禁止
新型コロナウイルスが流行してからは、人が集まる場での飲食は敬遠されるようになりましたよね。
担当者会議を書面やズームに移行するケースも増えましたが、最近では集まって担当者会議を行うことも復活してきました。
ですがコロナ禍での担当者会議ではできる限り短時間、少人数という環境で開催されています。
また各サービス事業所でも、昼休みは場所と時間をできる限り分散させて感染リスクを下げる取り組みを行なっています。
ほとんどの介護事業所では人が集まるところでマスクを外したり飲食をすることはできる限り避けたいのが現状です。
特に介護事業所ではコロナウイルスの陽性者が出ると、営業停止につながってしまう恐怖も抱えていますのでその思いはより強くなっています。
コロナ禍においてはサービス事業所側に配慮するという意味でも、担当者会議でお茶やお菓子は準備しないほうがいいでしょう。
どうしても準備する場合は持ち帰れる物がオススメ
そうは言っても、来客にはおもてなしをするということは日本の風習としてあります。
私も日本生まれ日本育ちですので、お客さんが来るのに何も準備しないわけにはいかないという気持ちは分かります。
お菓子は必要ないという『なひのひさん』の見解は分かったけど、気持ち的にはどうしてもお茶やお菓子を準備したいという方もいると思います。
そういった場合には、持ち帰れるお菓子を準備することをオススメします。
ケーキを準備して皿に置いて出してしまうと介護サービスのスタッフにとって「食べる」という選択肢しかなくなってしまいます。
ですが、個包装のせんべいのようなお菓子であれば「食べる」ことも「食べない」ことも選択できます。
また、帰りにそのまま持ち帰らせることもできますので、食べる食べないの判断をサービス事業所側のスタッフに委ねることができます。
それでも、頂くことはできないという事業所もありますので断られた場合は無理強いしないようにしましょう。
お茶やお菓子を準備してもいい例外とは?
私はここまで一貫して担当者会議にお茶やお菓子は必要ないとお伝えしてきました。
ですが、お茶やお菓子を準備して頂いてもいいと思う例外が一つだけあります。
それは、お茶やお菓子を準備することがご利用者の社会参加の機会になっている場合です。
例えば次のような場合ですね。
- 「お客さんが来るから」とご利用者自らが買い物に行った場合
- ご利用者自らがお茶を入れて下さった場合
私が働くデイサービス利用の目的は、ご利用者ができる限り住み慣れた地域で自立した生活を送れるようにすることです。
「お客さんが来るから」とご利用者自身の気持ちが動いて、わざわざ準備してくださったのであればデイサービス利用の目的にも合致すると思っています。
それをサービス事業所側が「準備しなくていいです」と一方的に断ち切ってしまうことはご利用者の社会参加の機会を奪うことにもつながりますよね。
あくまでも私の個人的な意見なので、参考程度にご覧いただければと思います。
ですが、私の基本的な考え方として担当者会議でお茶やお菓子は準備しなくていいということに変わりはありません。
積極的に準備してくださいということではなく、あくまでもご利用者自身の気持ちが動いた時に肯定させていただきますという考え方です。
まとめ
今回は、担当者会議でお茶やお菓子は準備は必要?というテーマでお伝えしてきました。
サービス事業所側からすると担当者会議でお茶やお菓子の準備は必要ありません。
その理由は次の3つです。
- 飲食よりも情報共有が優先される
- 事業所によってはお茶やお菓子を頂くことを徹底的に禁止している
- コロナ禍で人の集まるまでの飲食を控えている
どうしてもお菓子やお茶を準備する場合は持ち帰れる物を準備するようにしましょう。
ご利用者自らが準備する場合には、社会参加の機会になりデイサービスの利用目的とも合致するので一概にお断りするわけではありません。
担当者会議があるからと言って、わざわざお茶やお菓子を準備する必要はありません。
場合によってはサービス事業所側を困らせてしまうことにもなりますので、基本的には何も準備しなくていいと考えていただいて大丈夫です。
それよりも、サービス事業所側にご利用者やご家族の情報をより多くの情報を伝えられるように準備して頂けるとありがたいです。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。