この記事で分かるデイサービスのことは次の通りです。
- 送迎中にご利用者の体調急変発生の為に備えておくこと
- 送迎中に交通事故が発生の為に備えておくこと
- デイサービス送迎中の急変対応の手順(症状ごと)
- デイサービス送迎中の交通事故への対応手順
- 迎えに行ったけどご利用者の具合が悪い場合の対応
- 送迎車両への乗降介助時の注意ポイント
【送迎の不安解消】デイサービス送迎マニュアルに盛り込む7つの内容と安全運転の5つのポイントを解説!!の記事では次の内容をお伝えしました。
- 安全運転のポイント
- 送迎マニュアルを作る目的
- 送迎マニュアルの内容
今回はデイサービスの送迎中に、実際にご利用者の体調急変や交通事故など不測の事態が発生した場合の対応についてお伝えしていきます。
いくらマニュアルが整理されていても、実際にご利用者の急変や交通事故が起きた時にはパニックに陥り、急変対応や事故処理には思うように体が動かないものです。
今回はまず初めに、デイサービス送迎中に急変対応や交通事故に遭遇した時に慌てずに対応するための事前の備えについてお伝えしていきます。
そのうえで、実際の送迎中に急変対応が必要な場面での対応手順や交通事故発生時の対応手順について解説していきます。
デイサービス送迎中の不測の事態は多くの職員が不安を抱えますし、臨機応変な対応が求められる部分ですよね。
今回の記事が少しでも、デイサービス送迎時の不安を解消する内容になっていれば幸いです。それでは是非ご覧ください!!
この記事を書いている私に関して
- デイサービス勤務歴11年以上の経験の中で、介護職、生活相談員、管理者を経験する
- デイサービスの生活相談員や管理者(社会福祉士)として10年以上にわたり相談窓口として勤務する。
- ゴールド免許です。
送迎時の急変や事故は起きる前提で5つの備えをしておきましょう!
デイサービスの送迎業務は、職員が不安を抱えやすい業務の1つです。
特に職員1人での送迎中にご利用者の体調急変や交通事故が起きた場合には、自身で判断して対応手順をこなす必要があるので精神的な負担は大きくなります。
次のような出来事はデイサービスの送迎時に起こりうる可能性があります。
- 迎えに行ったが、ご利用者の具合が悪そう
- 送迎中の車内でご利用者の体調が急変する
- 乗降介助中に介護事故が発生する
- 交通事故に遭う
デイサービスの送迎時には、ご利用者の体調急変や交通事故はいつ起きてもおかしくありません。(送迎時の体調急変や交通事故の対応手順は後ほどお伝えしていきます。)
送迎中の体調急変や事故は起きてから慌てるのではなく、起きるという前提のもと備えておくことが重要になります。
具体的には、次の5つの備えをしておきましょう!
- 活用できる送迎マニュアルの作成
- ご利用者の体調確認
- 危険箇所の確認
- 研修を行う(不安要素の確認やロールプレイング)
- 送迎ルートの確認
デイサービス送迎時の体調急変や交通事故には事前に備えておくことで、落ち着いて対応ができるようになります。
では詳しく解説をしていきますのでご覧ください。
活用できる送迎マニュアルの作成
活用できる送迎マニュアルを作成しておくことは、万が一の不測の事態に備えることにつながります。
大事なことは活用できるマニュアルを作るということです。
送迎マニュアルの内容はゴチャゴチャと書きすぎると何を書いてあるのかその中身が分からなくなります。
活用できる送迎マニュアルを作るには、マニュアルを作る目的を明確にしてから作るようにしましょう。
デイサービスで送迎マニュアルを作る目的は主に次のような物があります。
- 送迎全般に関するルールの共有
- 車両の管理、操作ルールの共有
- 事故や緊急時の対応の共有
- 乗降介助のルールの共有
- 安全運転の意識強化
デイサービスで活用できるマニュアルを作成するには、目的ごとに分けて作成していきます。
目次と言うと分かりやすいでしょうか?
下の図のようなイメージで目次を作って、そのページをめくれば知りたい情報を知ることができるという状況ですよね。
例えば送迎時の緊急対応について知りたい時には、緊急対応のページを開けば分かるという感じで整理をしてマニュアルを作成していきましょう。
文字だけでなくイラストや図もしくはフローチャートなどがあると、より活用しやすい送迎マニュアルになっていきます。
ご利用者の体調確認
デイサービスのご利用者は高齢者が車に乗るという特性上、体調の変化が起こりやすいです。
デイサービスの送迎時には、乗車前から降車後まで一連の体調を確認しておく必要があります。
体調確認のポイント
- 口頭で体調の確認(眠れたか、朝食を食べたか、いつもと変わりないかなど)
- 体温測定
- 顔色の目視確認
体調の急変には何かしらの前兆がある場合もありますので、ご利用者の乗車前~降車後までの体調確認は非常に重要な業務です。
例えば次のような場合は、ご利用者の体調急変の前兆かもしれません。
- 昨晩なかなか眠れずに寝不足である
- 顔色がいつもより赤い、青い、黄色っぽい
- いつもは食べるが、食欲が無く朝食が食べられなかった
- 朝食をいつもよりも食べ過ぎた
- 車内でいつも喋るが、今日は妙に静か
- いつもよりも呂律が回っていない
- 車に乗っている時間がいつもより長い
- 微熱がある
- 介護側の感覚として『なんかいつもと違う感じがする』
このような、体調変化の前兆を感じておくことで幅広い対応ができるようになります。
特に送迎の運転中は、安全運転に集中するのでご利用者の体調まで気が回らなくなりがちです。
信号で止まったタイミングでご利用者に声をかけたり、顔を目視することも体調確認になります。
危険箇所の確認
デイサービスの送迎ルート上には、いくつかの危険箇所が存在します。
危険箇所を事前に確認しておくことは、送迎中の交通事故の未然防止につながっていきます。
デイサービスの送迎ルート上の危険箇所には次のようなものがあります。
ポイント
- 一時停止で止まらずに車が出てきやすい
- 高校生の自転車が飛び出しやすい
- マンホールなどの段差が激しい箇所
- スクールゾーンではないが小学生が多い
- 道路が凍結しやすく凍結しているとブレーキが利かない
- 見通しが悪い交差点だがカーブミラーもない
- 途中から道幅が狭くなり車輪脱落の危険がある
デイサービスの送迎時に職員が感じたことのある、危険箇所を共有しておくことで交通事故を未然に防ぐことができるようになります。
デイサービスによっては危険箇所マップを作成して、送迎前に確認をしてから出発をするという取り組みを行なっている所もあるようです。
どのような取り組みを行うかは、デイサービスの実情に合わせて選択をしていくといいでしょう。
研修を行う(不安要素の確認やロールプレイング)
デイサービスの送迎は、定期的に研修を行うことで様々な情報共有の場にすることができます。
研修を行うこと自体が、安全運転や緊急時対応への意識を高める効果があります。
様式ばった研修だけでなく、職員が普段の送迎で不安に感じている部分を自由発信できる研修を行うことも事前の備えと言う意味では効果的と言えるでしょう。
- 危険箇所としては共有されていないけど、職員が個人的に不安に感じている部分
- そういえば最近○○様が車の中で目をつぶってることが多くなってきたよなぁ
- ○○様、最近朝の準備が遅くなってきているなぁ
- 送迎車内で○○様に声をかけたが反応がなくてヒヤッとした
研修の中では「こんなこと言わなくてもいいかな」と思うようなことでも共有しておくようにしましょう。
些細なことが他の部分とつながったりもするので、小さな情報でも発信をしておくことで不測の事態に備えることにもなります。
メモ
些細な事でも共有しておく
研修の中では、他の職員から目からうろこのアドバイスをもらえたり、対策を考える機会になっていきます。
また、研修の中では座学だけではなくロールプレイング形式で実際に訓練してみることをオススメします。
実際に、ご利用者の体調が急変した場合を想定した訓練や、交通事故の加害者になった場合の想定の訓練はやってみることで「あれ?この場合どうするんだっけ??」と分からないことが出てきます。
繰り返しロールプレイングを行うことで、リアルな現場をイメージしてできるようになっていきます。
送迎ルートの確認
事前に送迎ルートを確認することも事前の備えになります。
送迎ルートの事前確認では、次のようなことを確認しておきましょう。
- 危険箇所
- 交通量
- 送迎に係る時間
- AEDの設置個所
- イレギュラーなことが起きていないかどうか
送迎ルートの確認とは言うものの頻繁に送迎ルートを実際に確かめに行くというのは現実的ではありません。
いくつかのポイントに絞って送迎ルートの確認をしておくようにしましょう。
例えば通常の送迎ルートでは次のような事案が発生することがあります。
水道工事の為、自宅前までデイサービスの送迎車両が入れない。
イレギュラーな事案が発生した場合には、事前に共有しておくことで様々な対策ができるようになります。
駐車位置の確認や、車いすを持って行った方がいいかなど事前の対策ができます。
他に特段気を付けるポイントは、新規ご利用者宅周辺の送迎ルートの確認です。
新規ご利用者宅に向かう際に、デイサービスと新規ご利用者宅間の送迎ルートはほぼ間違いなく確認できているかと思います。
契約や担当者会議などでデイサービスから新規ご利用者宅に生活相談員等が向かっていますからね。
ですが、実際の送迎ルート上の確認はできているでしょうか??
A様宅から新規ご利用者宅間、新規ご利用者宅からB様宅間など、実際の送迎ルートの確認ができていないと思わぬ事故の原因にもなります。
- 道がつながっているか
- 危険箇所は無いか
- 時間がどのくらいかかるか など
新規ご利用者宅への送迎を行う際には、実際の送迎ルートをイメージして事前の確認をしておきましょう。
この後に送迎中の体調急変の対応を説明していきますが、送迎ルートの確認をする時にはAEDがどこに設置されているか確認しておくことも重要になります。
デイサービス送迎中の症例別の体調急変対応手順
では実際にデイサービスの送迎中にご利用者の体調が急変した場合には、どのような対応をしていくといいでしょうか??
送迎中の体調急変への対応は、職員がパニックに陥ったり冷静な判断ができなくなりやすい場面の1つでもあります。
送迎中の体調急変への対応では臨機応変な対応が求められる場面も出てきますが、場面に応じた基本の流れを頭に叩き込んでおくだけでも冷静な判断ができるようになります。
ここでは次の3つの場面での送迎時の急変対応に関してお伝えしていきます。
- ご利用者の意識が無い
- ご利用者が嘔吐した
- ご利用者から体調が悪いと申し出があった
今回は基本的に、職員が1人で送迎をしている場合を想定してお伝えをしています。
添乗者がいる場合には、2人で役割分担をしながら対応していきましょう。
また、自分が想定していない事案やマニュアルで想定されていない事案が起きることも考えておかなければいけません。
今回お伝えする内容がすべてではなく、様々な状況に応じた対応が重要になりますのでご理解の上、読んで頂きたいと思います。
では詳しく解説していきます。
ご利用者の意識が無い
まずはご利用者の意識がない場合(意識消失)の急変対応に関してです。
- 送迎車両を安全な場所に停める
- 意識がないご利用者の反応を確認する
- 119番通報をする(周辺の人にAEDの準備もお願いできれば尚良し)
- デイサービスへ連絡をする
- 周辺に人がいれば助けを求める
- 救急の指示に従いながら措置を行う
急変対応の中でも特に意識消失は職員がパニックに陥りやすい事案です。
3~5の連絡や協力を求める順番に関しては非常に悩ましいところなのですが、まずは命を救える状況を優先にするという意味で119を優先にしています。
デイサービスの中でも、連絡の順序に関してはきちんと決めておくことが望ましいです。
ご利用者が嘔吐した
次にご利用者が嘔吐した場合です。
- 送迎車両を安全な場所に停める
- ディスポーザブルグローブを着用し感染予防(エプロンなどがあれば尚良)
- 窓を開け換気する
- 嘔吐したご利用者が吐物を誤嚥しない体制にする(口の周りを吹くなどの対応も一緒に行う)
- 再度嘔吐する可能性があるのでビニール袋を渡す
- 他のご利用者を離れた席に誘導する(できる場合)
- デイサービスに連絡する
ご利用者が嘔吐した場合には、誤嚥しないことや他のご利用者への影響などに配慮しましょう。
デイサービスに連絡をして応援を呼んだ後には、同乗していたご利用者は別の車でデイサービスや帰りであればご自宅に送り届けるようにしましょう。
嘔吐のあったご利用者は、単に車酔いなのかそれとも他に原因があるのかその場で判断をするのは難しいのでできる限り受診をしていただく方向で話を進めていきましょう。
感染症の場合には、同乗していたご利用者や職員も感染の恐れがありますので必ず体調の確認を継続していきます。
送迎車両に関しては、吐物処理の手順に従って清掃や消毒を行いましょう。
ご利用者から「体調が悪い」と申し出があった
送迎中にご利用者から「体調が悪い」と申し出があった場合です。
ご利用者から「体調が悪い」と申し出があった場合には、まずは送迎車両を安全な場所に停めるようにしましょう。
対応が長時間に渡り他のご利用者のサービス提供に影響を与えそうな場合には、デイサービスに連絡し応援を求めます。
どのように体調が悪いのかによって対応の方法も変わってきます。
「吐き気がする」場合
- 吐き気の訴えがある場合には、ビニール袋を渡し嘔吐に備えます。
- まずは車を安全な場所に停め、ご利用者の体調観察をするようにしましょう。
- デイサービスに状況報告の連絡を入れ、必要であれば応援を呼びます。
- 実際に嘔吐があった場合には、先ほどお伝えした嘔吐があった場合の手順で対応していきます。
- 吐き気があったけれども、実際に嘔吐が無い場合には顔色や発熱など総合的に判断したうえでそのままデイサービスに向かうことも1つです。
「寒気や熱っぽい」場合
- 車を安全な場所に停め、検温します。
- 検温の結果、発熱が確認できる場合には受診をしていただくことになります。
- 送迎の途中であれば、一度引き返すかどうかはデイサービスと連絡を取ったうえで判断をしていきます。
「体の一部が痛い」場合
- 車を安全な場所に停め、検温します。
- 発熱や、患部の異常が無ければそのままデイサービスに向かいましょう。
- デイサービスに来所後も体調観察を継続していきましょう。
身体の節々の痛みの場合には、インフルエンザの可能性もありますのでその場で体温を測ったり、他の症状が無いかを確認しましょう。
送迎中にご利用者から体調不良の訴えがあると、そのままデイサービスにお連れしていいかどうか悩ましいものです。
頻繁な体調不良の訴えには、どのように対応していくかデイサービスの中でルールを決めておくようにしましょう。
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参考【規則厳守と柔軟性】デイサービスでルールを守るべき5つの理由と柔軟な対応をする時の手順について解説!
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送迎中の交通事故の対応手順
デイサービスの送迎中には、交通事故の被害者にも加害者にもなり得る可能性があります。
交通事故が発生した場合にも慌てることの無いように、対応の手順を確認していきましょう。
- 送迎車両を安全な場所に停める(移動できる場合)
- 同乗しているご利用者の状況確認を行う
- 事故相手の状況確認を行う
- デイサービス管理者への連絡を行う
- 110番をする
- ケガなどで搬送が必要な場合は119番をする
- 管理者は現場に速やかに移動する
事故が起きた場合には、車を移動させるべきでないと考える方もいますが2次被害が起きてしまっては元も子もありません。
2次被害の危険があるようならば車は移動させておきましょう。
送迎車に同乗しているご利用者の体調確認はもちろん行いますが、特に交通事故の加害者になった場合には事故相手の体調確認も行う様に意識しておきましょう。
また、110番の連絡ですがデイサービス側が交通事故の加害者になった場合には必ずデイサービス側から行います。
デイサービスが交通事故の被害者になった場合には、相手に110番をしてもらうことになります。
ですが、中には110番を渋られるケースもあるようです。その場で示談を持ちかけられたりしても決してその話に乗ってはいけません。
交通事故の当事者になった場合には、必ず警察に届ける必要があります。
交通事故の発生時に警察に届けないことで、保険対応ができなくなるだけでなく刑事処分や免許取り消しなどの処分を受ける恐れもあることを理解しておきましょう。
110番はどちらからかけても大丈夫ですので、相手方が渋るようであればデイサービス側から必ず110番をしましょう。
ポイント
軽微な交通事故であっても必ず110番をする
迎えに行ったけど・・・
デイサービスの送迎では、迎えに行ったものの様々な理由でスムーズに乗車できない場面もあります。
例えば次のような場面では、送迎時にスムーズに乗車できない要因となります。
- 迎えに行ったけど玄関に出てこない
- 迎えに行ったけど具合が悪そう
- 迎えに行ったけど準備ができていない
送迎車内での出来事だけではなく、ご利用者宅の玄関先でのトラブルもデイサービスの送迎では起きやすい事例です。
その場面になって、どうしたらいいのかと迷うことの無いように対応手順を理解しておきましょう。
迎えに行ったけど玄関に出てこない
ご利用者を迎えに行ってインターホンを鳴らしたものの、待てど暮らせどご利用者が姿を現さない。鍵もかかっていて中の様子も伺うことが出来ない。
そんな状況はデイサービスの送迎ではよくありがちです。
迎えに行ったが出てこない場合には、まずはご利用者宅の固定電話に電話をしましょう。
家のどこかに鍵が開いている場所があれば、そこから大きい声で呼ぶことも効果的な方法です。
どこも鍵が開いていないし、電話をしても中からの反応が無い場合には次のような対応をしていきましょう。
- デイサービスに状況報告の連絡を入れる。(管理者や生活相談員は現場に向かう)
- デイサービスもしくは送迎担当者から緊急時連絡先(ご家族等)に連絡を入れ状況を伝える。
- ケアマネージャーにも連絡を入れておく。
- 生活相談員や管理者などの状況に応じて動ける職員が現場に残る。
迎えに行ったけれども出てこない場合には単純に寝ていただけだったり、デイサービスを忘れて出かけてしまったなどの場合もあります。
ですが、デイサービス側としては最悪の事態を想定して動くことがポイントになります。
ご利用者が体調を崩していたり、死亡しているケースもゼロではありません。送迎もデイサービスのサービス内容の一つですのでご利用者の安否確認まで責任を持って行いましょう。
注意ポイント
ご利用者が出てこない場合は、最悪の事態を想定して動く
迎えに行ったけど具合が悪そう
次は、ご利用者の迎えに行ったけれどもなんか具合が悪そうという場合です。
ここは、デイサービスの職員にとってなかなか判断が難しい場面ですよね。デイサービスの送迎ではこのような場面にも遭遇しますので対応を覚えておきましょう。
- お迎え時に体調不良を確認する
- 顔色、バイタル、活舌などの確認を行う
- デイサービスに状況報告の連絡を入れる
- デイサービス若しくは送迎担当者から緊急連絡先(ご家族等)に連絡を入れ状況を伝える
- 緊急性が高い場合(※)は119番をする
- 管理者や生活相談員など状況に応じて動ける職員が現場に残る
※緊急性が高い場合とは、次のような場合を指します。(消防庁の救急車利用リーフレット(高齢者版)にも掲載されています。)
- 激しい頭痛
- 高熱
- ふらつきが強かったり、立位保持ができない
- 呂律が回らない
- 見える範囲が狭い
- 二重に見える
- 呼吸困難
- 痛みが移動する
- 突然のしびれ
- 片方の手や足に力が入らない
- 激しい腹痛
- 吐血
- 意識がない
- 痙攣
- 冷や汗を伴う吐き気
- 大量の出血を伴うケガ
- 広範囲のやけど
- 転倒して強い衝撃を受けた
判断に迷った場合には、必ずデイサービスに連絡を入れるようにしましょう。
「体調が悪い」と言っているからと職員一人の判断で利用中止にすることは、デイサービスの責任を果たさないことになりますので注意をしましょう。
迎えに行ったけど準備ができていない
迎えに行ったけれども、ご利用者側の準備ができていないケースもデイサービスの送迎では特に起こりやすいケースです。
迎えに行ったけれども準備ができていない場合に、自宅の中まで入って準備を手伝うべきなのかどうか悩ましいと思います。
デイサービスごとの判断が求められる場面ですが、私のデイサービスの場合は中まで入って準備を手伝うことは基本的には行なっていません。
一切しないということでもありませんが、時間がかかる場合にはご自身やご家族に「また後でお迎えに来ます」ということを伝え一端その場を離れます。
冷酷だと思われるかもしれませんが、他のご利用者への影響も同時に考えなければいけませんのでやむを得ない判断だと思っています。
限られた人員の中で対応しなければいけませんので、その方の対応をした時のリスクも考慮したうえで判断していきましょう。
ですが迎えに行ったけども準備ができていないご利用者に対しては、デイサービス側としても何かしらの対策は取らなければいけません。
- 迎え前に電話連絡を入れる
- お迎え時間を遅くする
- カレンダーでデイサービスの日を分かりやすくしておく
- ヘルパーを入れる提案をする(ケアマネージャーへの相談)
- 先に声をかけてから他のご利用者のお迎えに行く
慢性的に準備ができないような場合には、ケアプランの見直しも必要です。
ケアマネージャーとも連携を図りながら、対応を進めていきましょう。
デイサービス送迎車への乗降介助時の3つの注意ポイント
デイサービスの送迎時には、送迎車両の乗り降りも気を付けなければいけないポイントです。
送迎車の乗り降りはご利用者によって対応方法が変わるからという理由で、マニュアル化されていない場合も多いかもしれません。
ですが送迎車両への乗降時は事故が起こりやすいポイントでもあり、デイサービス職員側の配慮が求められる場面です。
デイサービスの送迎車への乗り降りで気を付ける3つの注意ポイントをお伝えしていきます。
乗車時降車時ともに言えることですが、
注意ポイント①
ご利用者の両手は空けるようにしましょう。
ご利用者が手に杖や荷物を持ったまま車両の乗降をすることは、バランスを崩したり手すりをつかみ損ねる原因になります。
必ず、固定された手すりに掴まりながら乗降していただきます。
但し、ステップや踏み台の必要がない軽自動車の場合には杖を持ったまま降りたほうが乗降しやすい場合もあります。
ご利用者が安全に乗降できる状態に合わせるようにしましょう。
軽自動車の場合にはステップがついていないことが多く、横づけで踏み台を置いてステップ代わりにすることもあるでしょう。
踏み台をステップとして使う場合には、
注意ポイント②
グラグラしない安定した場所に置きましょう。
踏み台を置く時には、足と地面がしっかりと密着するように置きます。
乗った時にグラグラした状態では、かえって転倒する危険性を増加させていることになります。
ご利用者が乗車したり、降車した後にも注意するポイントがあります。
ドアの閉め方ですね。デイサービスの職員の中には普段からの癖なのか思いっきりドアを閉める職員がいますね。
送迎車に実際に乗ってみると分かりますが、座席に座っていても実はドアに指を挟みやすい箇所がいくつか存在するんですよね。
注意ポイント③
ドアを閉める時には「ドアを閉める」ことを必ず声掛けして、目視で確認をしながらゆっくりと閉めましょう。
私の場合は、ハイエースなどのスライドドアを閉める場合は閉まる直前まで自分の手を中に入れて閉めるようにしています。
またイージークローザーがついている車両も増えていますので、最後まで自分の手でゆっくりと閉めるようにしましょう。
その他にも送迎時の大事な5つの注意点
デイサービスの送迎ではその他にもいくつかの注意すべきポイントがあります。
今回はその中から次の5つの注意点を簡単にお伝えしていきます。
- アルコールチェック
- 体調の自己管理
- 免許証
- 送迎車両の点検
- 電話に出る時は停車してから
細かいポイントになりますが、安全運転や交通事故の防止につながる内容になります。
各デイサービスでルール化して、責任をもって送迎業務にあたりましょう。
アルコールチェック
2023年12月1日より、アルコール検知器を用いたアルコールチェック義務化が開始されます。(道交法の施行自体は2022年4月1日で目視等でのアルコールチェック義務化は既に始まっています。)
機器の供給が間に合わずに延期されていましたが、義務化がいよいよ目前まで迫っています。
小規模のデイサービスを除き、多くのデイサービスはアルコールチェック義務化の対象内に入ったものと思います。
具体的には次の条件ですね。
アルコールチェック義務化の条件
乗車定員が11人以上の白ナンバー車一台以上を保持する企業
または
白ナンバー車5台以上を保持する企業
今までは緑ナンバーが対象でしたが、条件の変更により白ナンバーを運転するデイサービスもアルコールチェック義務化の対象となりました。
送迎前には、アルコール検知器(アルコールチェッカー)を使用し、酒気帯びがない事を確認する必要があります。
2023年12月1日に施行される内容は次の通りです。
参考
- 運転者に対して、運転前後の酒気帯びの有無をアルコール検知器を使用して確認
- アルコール検知器を常時有効に保持
- 確認内容を記録し、その記録を1年間保持
体調の自己管理
体調の自己管理も、送迎時には注意すべきポイントです。
先ほどのアルコールも含めての体調管理となりますが、その他にも次のようなポイントには気を付けていきましょう。
- 寝不足
- 突発的な体調不良
- 持病の管理
寝不足に関しては、交通事故を起こす原因になりやすい部分です。
送迎に関わる職員は十分な睡眠時間を確保して安全運転に努めましょう。
突発的な体調不良がある場合には、必ず自分から申し出るようにしましょう。
例えば腰が痛くて運転に支障を来すとか、朝から腹痛が続いているなどの場合には運転にも影響が出やすくなるでしょう。
申し出づらいかもしれないけれども、ペットが無くなって精神的に不安定なども上司に伝えていくことで配慮をしてもらえるケースもあります。
(私の体感ですが、精神面での不安定さは実際に事故を引き起こす要因となりやすいです)
持病の管理も送迎職員にとっては重要なポイントです。
持病の内容によっては、運転中に意識を失うなんて言うことも十分にあり得ます。
使用者側は、健康診断などで労働者の健康状態を把握しておく必要があるでしょう。
免許証の持参
運転免許証は、運転時には必ず携帯しておくようにしましょう。
もちろん、運転免許証を携帯していないからと言って直ちに何か危険性があるわけではありません。
ですが運転免許証を忘れてしまうと、ドキドキしたり運転に集中できなくなる原因にもなります。
免許不携帯は、違反点数は無く罰則金も3、000円とそこまで大きな違反ではないのですが、運転手の責任として必ず携帯しておきましょう。
送迎車両の点検
送迎前後には、必ず送迎車両の点検を行います。
車両に異変を感じた場合には、次のような対応が必要となります。
- 使用を中止して別の車両で対応をする
- 別の車両の使用ができない場合は、ご利用者に事情を説明し送迎が遅れることを了承いただく
- 直ちにディーラーに点検してもらう
車両の異常を放置していると、送迎中に車が動かなくなったり道路上で車両の破損が発生する原因にもなります。
日々の車両点検を行いながら、異常の早期発見をすることで不要な事故を起こさずに済むことになります。
電話に出る時は安全な場所に停車してから
ここまでもお伝えしてきたようにデイサービスの送迎では、色々な場面で電話に出たりかけたりするようなことがあります。
- 急に休みの方が出た
- 休みの方が出たので1人送迎に追加して欲しい
- デイサービスへの到着が遅れそう
- 送迎中にイレギュラーなことが起きた
電話が必要な場面では、必ず安全な場所に停車してからかけたり出たりしましょう。
車通りの多い場所での停車は、追突事故を起こしたり他の車同士の事故を誘発する原因になります。
ちなみに、運転中の携帯電話の使用(交通の危険がある場合)は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられますので注意しましょう。
もちろん、罰則の為ではなく不要な事故を起こさないために必要なことです。
まとめ
今回は【送迎の緊急対応】デイサービス送迎中の体調急変(症例別)と事故対応手順を解説!というテーマでお伝えしてきました。
送迎中の体調急変や交通事故は発生してから慌てるのではなく、起こる前提のもと事前の準備をしていきましょう。
体調急変や交通事故対応への事前の備えとして次の5つを紹介しました。
- 活用できる送迎マニュアルの作成
- ご利用者の体調確認
- 危険箇所の確認
- 研修を行う(不安要素の確認)
- 送迎ルートの確認
事前の備えをしておくことで、デイサービスの送迎中に体調急変や交通事故が発生しても慌てることなく対応ができるようになります。
万が一、送迎中にご利用者の体調急変が起きても慌てることの無いように、症例ごとの急変対応の手順をシミュレーションしておきましょう。
今回紹介した3つの症例の中でも送迎車内での意識消失や嘔吐は、特に職員が焦りやすい場面です。
状況によっては、周辺の人に助けを求めたり119番をしたりと冷静に動かなければいけない事案ですので普段から対応手順のロールプレイングを行なっておきましょう。
交通事故の対応手順では、加害被害関係なく必ず110番をするようにしましょう。
相手が110番を渋る場合でも、その場で相手の示談に乗ってしまうことは絶対に避けましょう。
交通事故の当事者に鳴った場合に警察に届けないと保険を受けられない、刑事処分の対象となるなどのリスクがあることを理解しておきましょう。
その他にもデイサービスの送迎時には、他にもお迎えに行ったけど出てこない、車両への乗り降りで事故が発生するなどの事案が発生します。
安全に送迎をすることはもちろんですが、体調急変や交通事故が万が一発生した場合に事前に備えておくことでリスクや職員の精神面の負担軽減につながっていきます。