これからデイサービスを利用したいと考える時に、そもそも何から始めたらいいのか分からないと悩む方は多いともいます。
- どこに相談に行ったらいいのか分からない
- デイサービスを利用するまでの流れが分からない
- そもそもウチのじいちゃんやばあちゃんはデイサービスを利用できるの?
様々な疑問点が浮かんでくるでしょう。
今回は、デイサービスの利用条件、デイサービスを利用したい時の相談窓口、そもそもデイサービスではどんなことができるのかなどについて解説していきます。
この記事の内容
- デイサービスを利用するまでの流れ
- デイサービスを利用するための条件
- デイサービスを利用するための相談窓口
- デイサービスではどんなサービスを受けられるのか
今回の記事をお伝えする私は、デイサービスで11年以上の勤務歴。社会福祉士を持つ生活相談員(管理者も兼務)としてデイサービス利用に関する相談にも現役職員として携わっています。
そんなデイサービスのプロがデイサービスを利用するまでの流れや、利用条件、相談窓口について解説していきます。
記事を最後まで読んでいただくことで、デイサービスを利用するためにやるべきことがわかるようになります。
デイサービス利用までの流れ
デイサービスを利用したいと思っても何から手を付けたらいいか分からないという方もいると思います。
今回の記事では、最初にデイサービス利用するまでの大まかな流れをお伝えしたうえでそれぞれの細かい部分を解説していきます。
デイサービスを利用するまでの大まかな流れは次の通りです。
デイサービスを利用するまでの流れ
- 介護度の申請(要介護認定を受ける)
- 介護度の確定(介護保険証の交付)
- 担当ケアマネージャーの決定、契約
- ケアプラン作成(情報の聞き取り、デイサービスの選択)
- デイサービスとの契約
- デイサービスの利用開始
以上のような流れでデイサービスを利用することになります。
しかし大まかな流れを聞いたところで、結局どこに行って何をしたらいいかは分からない方が多いと思います。
これからこの記事の中で、それぞれの流れについて解説していきます。
その前にデイサービスを利用する目的・受けられるサービス・利用できる条件を説明していきます。
必要ないという方は、介護度の申請まで読み飛ばしていただいて大丈夫です。
では、解説していきます。
デイサービスを利用する目的とは?
デイサービスとは、介護が必要な方が日帰りでサービスを受けられる介護保険事業所です。
通所介護やデイと呼ばれることもありますが、デイサービスと同じ意味です。
デイサービスに似た言葉でデイケアというものがありますが、デイサービスとデイケアは内容が違います。
デイサービスとデイケアの違いはデイサービスの選び方の記事で紹介していますのでご覧ください。
デイサービスを利用する目的は介護が必要な状態になっても住み慣れた自宅や地域で暮らし続けることができるよう利用します。
デイサービスでは、通うご本人に合わせた利用計画をデイサービスの職員が立ててくれます。
ざっくりというと、できる部分はご自身で行なっていただき、できない部分をお手伝いしたりできるようになる方法を考えたりします。
デイサービスとデイケアの違いは以下の記事で詳しく解説しています。
続きを見る
参考デイサービスとデイケアって違うの?
利用する目的と働いているスタッフの違いについて解説します。
デイサービスではどんなサービスを受けられるの?
デイサービスでは主に、以下のようなサービスを受けることができます。
デイサービスのサービス内容
- 送迎
- バイタル測定
- 入浴
- 食事
- 機能訓練
- レクリエーション
- 状態の観察
- 必要に応じた介助
ただし、全てのデイサービスで同じことを行なっているわけではありません。
近年は、何かに特化しているデイサービスが増えてきています。
例えば、リハビリ特化型と呼ばれるデイサービスでは、機能訓練を中心に行いますので入浴や食事は提供していない場合があります。
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関連デイサービスって何?
デイサービスを分かりやすく、そして丁寧に説明します。続きを見る
デイサービスを利用するための条件とは?
デイサービスを利用するためには、3つの条件があります。
その3つとは
デイサービスの利用条件
- 要介護認定を受けていること
- 通うデイサービスの送迎範囲内に住んでいること
- 医療行為が不要であること
詳しく説明していきます。
デイサービスを利用できる条件は以下の記事でも詳しく解説しています。
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関連デイサービスってどんな人が利用できるの?
デイサービスを利用するための条件や要支援・自立の方が利用する方法をお伝えします。続きを見る
要介護認定を受けていること
デイサービスを利用するための条件の1つ目が要介護認定を受けていることです。
要介護認定を受けるには、住んでいる市区町村の介護保険の窓口や地域を管轄する地域包括支援センターに相談します。
この辺りは、後ほどデイサービスを利用するまでの流れで詳しく説明していきますね。
要介護認定を受けられる方は次の通りです。
- 65歳以上の第1号被保険者
- 40歳以上64歳以下で規定の特定疾患に該当する第2号被保険者
要介護認定は要介護1~要介護5までの5段階で認定されます。
数字が大きくなるほど、介護が必要な度合いが大きいということです。
通うデイサービスの送迎範囲内に住んでいること
デイサービスの利用条件の2つ目が送迎範囲内に住んでいることです。
送迎に行ける範囲はそれぞれのデイサービスによって違います。
デイサービスによっては、デイサービスがある市内の送迎しかできなかい場合があります。
また他のデイサービスでは、デイサービスがある市内と隣接する市町村まで送迎ができる場合があります。
これは、介護保険制度によって送迎の範囲が決められていたり、デイサービスの送迎体制によって決まったり様々です。
この辺りは、地域包括支援センターの職員や、担当になるケアマネージャーが情報の収集をしてくれます。
医療行為が不要であること
利用定員が10名以上のデイサービスでは看護師の配置が必須になっていますが、看護師は自らの判断で医療行為を行うことはできません。
医療行為を行えるかどうかは、そのデイサービスによっても変わってきます。
デイサービスで必要になる医療行為は次のようなものがあります。
医療行為の例
- インスリン注射
- 胃ろうの管理
- 褥瘡(床ずれ)瘡部の処置
- バルーンカテーテルの管理
上記のようなものはデイサービスで行うことが考えられる医療行為です。
主治医からの指示書があることで、対応してもらえる場合もありますので、事前に確認してみましょう。
では、デイサービスを利用するまでの流れの説明に入っていきます。
デイサービスを利用するまで① 介護度の申請(要介護認定を受ける)
先ほどもお伝えしたとおり、デイサービスを利用するには要介護1~要介護5に該当していることが条件になります。
他にも介護が必要な状態にならないようにしていきましょうという要支援1、要支援2の認定もあります。
要支援1、2の認定を受けた方は、介護予防・日常生活支援総合事業(通称、総合事業)と呼ばれるサービスを受けることができます。
ここでは詳しい説明を割愛しますが、デイサービスと同じような内容でサービスを受けることができます。
デイサービスを利用するために介護度の申請をして、要介護認定を受けるにはお住いの市区町村の介護保険窓口に行く必要があります。
介護保険窓口は、主に市区役所や町村役場に設置されていることが多いです。
とはいえ場所がわかっても、どうやって申請をしたらいいか分からない、申請が難しそうと感じる方もいるかもしれません。
そういった場合には、社会資源を活用して申請を代行してもらうことをおススメします。
デイサービスを利用するまでの介護度の申請を代行してくれる主な社会資源が2つあります。
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)
上記の2つです。
地域包括支援センターを活用する
地域包括支援センターでは、社会福祉士・保健師・主任ケアマネージャーという様々な専門性を持った職員が働いています。
市区町村からの業務委託を受けており、おおよそ中学校区域に一件の割合で設置されています。
居宅介護支援事業所もそうなのですが、無料で相談できる施設ですので、積極的に活用しましょう。
デイサービスを利用するまでに介護度を申請して、要支援1または要支援2の認定結果が出た場合、その後の対応も地域包括支援センターの職員が担ってくれる場合があります。
地域包括支援センターでは、総合相談窓口としての高齢者の様々な相談に幅広く対応できます。
管轄地域内の、デイサービスの情報も豊富に持っていますし、デイサービスを利用するまでの流れも把握しています。
手続きで困った場合に地域包括支援センターは身近な存在として心強い味方です。
居宅介護支援事業所を活用する
居宅介護支援事業所では主にケアマネージャーが働いています。ケアマネ事業所や、居宅と呼ばれることもあります。
社会福祉法人、医療法人の他、営利法人、NPO法人も参入しており、設置されている件数の目安はなく、国が定める様々な基準をクリアしたうえで営業しています。
地域包括支援センターは、住んでいる地域によって利用できる場所が決まるのに対して、居宅介護支援事業所では地域は関係なく利用できます。
居宅介護支援事業所によって対応できる、範囲を行政に届け出ていますのでその範囲にお住いの方は利用することができます。
近くに評判のいい居宅介護支援事業所がある場合には選ぶこともできますので、問い合わせてみましょう。
どちらも、デイサービスを利用するまでの様々な調整を行なってくれる強い味方です。
地域包括支援センターも居宅介護支援事業所も無料で利用することができますので積極的に活用しましょう!
電話や直接訪問で「デイサービスを利用したいが介護認定を受けていない」旨の相談をすることで、その後の申請の手続きを代行してくれたり、必要な書類をそろえてくれたりと様々な対応をしてもらいます。
デイサービスを利用するまで② 介護度の確定(介護保険証の交付)
デイサービスを利用するための介護度申請を行なってから、介護度が確定するまでにはいくつかの工程が発生します。
介護度の申請後から介護度が確定するまでの流れをお伝えします。
介護の確定まで
- 訪問調査
- 一次判定
- 二次判定
- 要介護認定の通知
介護度が確定するまでには上記のような流れが発生します。
ここでは、それぞれ簡単に触れていきます。
訪問調査では、お住いの市区町村の職員が自宅等に訪問し聞き取りや実際に動いてもらうなどの調査を行います。
一次判定では、厚労省が作成した介護認定ソフトというものを使用してコンピュータによる判定が行われます。
二次判定では、保険・医療・福祉の学識経験者5名ほどで構成されている、介護認定審査会により認定の判定が行われます。
要介護度の通知では、要支援1、2又は要介護1~5が記載された介護保険被保険者証(通称、介護保険証)というものが発送されます。
介護保険証に記載された介護度で、デイサービスを利用するための調整を行なっていくことになります。
認定結果は、申請のあった日から30日以内に利用者へ通知することになっています。
申請した日からおおよそ1か月ほどで通知が届きますが、遅れる場合もあります。
その場合は、遅れる旨理由が書かれた通知が届きますので、見逃さないようにしましょう。
デイサービスを利用するまで③ ケアプランの作成
デイサービスを利用するためにはケアプランというものを作成する必要があります。
デイサービスを利用するためのケアプラン作成では、以下のような内容が決定していきます。
ケアプランで決まる内容
- ご利用者やご家族の意向
- 援助の方針
- ご利用者のニーズや目標
- ご利用者の介護保険サービスの利用スケジュール
- 長期目標・短期目標
- 利用する介護サービス(デイサービスの選択)
なぜデイサービスを利用するのか、デイサービスを利用してどうなりたいのか、そのためにどのくらいの頻度でデイサービスを利用するのかなどの情報が入ることになります。
こういった情報をケアプランに盛り込むために、ケアマネージャー等はご利用者やご家族から生活状況や身体の状況の情報を聞き取りを行います。
デイサービス側はそのケアプランを基にして、ご利用者ごとに利用計画を立てて受け入れをします。
ケアプラン作成の段階で、どこのデイサービスを利用したいかを選択していくことになります。
デイサービスの選び方に関しては別記事の、デイサービスの選び方を参考にしてください。
ケアプランはサービス開始後にも、定期的に見直しを行ったり、必要に応じて変更が出るものです。
一度決まったからと言ってずっとその内容で行くものではありませんのでご安心ください。
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ケアプランの作成もプロに任せましょう!
ケアプランはご利用者自身で作成することもできることになっていますが、ほとんどの場合はケアマネージャー等に依頼します。
デイサービスを利用するためのケアプラン作成を担当するのも主に先ほど紹介した
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所 の2つです。
ケアプランを作成する担当者は、要支援の認定か要介護の認定かで変わります。
要支援1、2の認定の場合は、地域包括支援センターが担当します。
要介護1~5の認定の場合は居宅介護支援事業所のケアマネージャーが担当します。
(要支援1、2の場合でも地域包括支援センターからの業務委託という形で居宅介護支援事業所のケアマネージャーが担当する場合があります。)
地域包括支援センターでは、要介護の認定を受けた方のサービス調整を行うことができませんので、要介護の認定が出た場合には、居宅介護支援事業所が担当することになります。
最初に居宅介護支援事業所に手続きの依頼を行なった場合は、引き続き居宅介護支援事業所のケアマネージャーが担当する場合が多くなります。
ケアプランは介護度の申請中に作成する場合もある
デイサービスを利用するまでの流れで介護度申請の後にケアプラン作成があると説明しました。
しかし、ケアプランは介護度の申請と同時進行で進む場合があります。
例えば、今すぐにデイサービスなどの介護保険サービスの利用を開始しなければいけない状況の場合などに同時進行になることがあります。
ケアマネージャー等が間違いなく何かしらの介護度がつくと判断した場合には、暫定プランという形でケアプラン作成を開始していきます。
介護度によって、デイサービスなどの介護保険サービスを利用できる回数が決まっています。
(厳密にいうと、回数に限度があるのではなく介護度ごとに設定された支給限度額という1~3割負担の中で利用できる料金の上限が設定されています。)
ケアマネージャー等は、暫定プランであっても限度をはみ出さないようにプラン作成を進めてくれますので安心してお任せしましょう。
デイサービスを利用するまで④ デイサービスとの契約
ケアプランの作成が終われば、いよいよデイサービスとの契約になります。
デイサービスとの契約を行う場合には、ご利用者やご家族や介護サービスの関係者で情報を共有するためにサービス担当者会議というものが開催されます。
サービス担当者会議では、援助の方針や利用する介護サービスの情報などが共有され統一したケアができるように話し合いを行います。
ほとんどの場合はサービス担当者会議が終わった後にデイサービスの利用を始めるために契約に移ります。
デイサービスとの契約では様々な書類の説明を聞いたり署名・捺印を行うことになります。
契約で交わす書類の例
- 重要事項説明書
- 契約書
- 個人情報の使用同意書
- 写真掲載に関する同意書
- 緊急時の連絡先
- 利用料金引き落とし用の口座情報
- 持ち物や送迎時間の説明
介護保険の制度上多くの書類が必要になりますので、根気強く説明を受けるようにしましょう。
デイサービスの利用に関して心配なことや質問、伝えておくべきことがある場合には契約の時に確認するようにしましょう。
もちろん、その前にデイサービスの担当者に連絡をしておいてもいいです。
不安なことの無い状態でデイサービスを利用できるように準備しておきましょう。
デイサービスを利用するまで⑤ デイサービスの利用開始
デイサービスを利用するための契約が終わると、いよいよデイサービスの利用開始です。
契約時に説明された時間にお迎えに来ますので、必要な荷物を準備して待っておくようにしましょう。
実際にデイサービスの利用が始まると、利用するまでは気づかなかった疑問点なども出てくると思います。
その時には、送迎の職員に直接聞いてみたり、デイサービスの担当者に連絡をして聞いてみることをおススメします。
また、デイサービスは一度通うとずっと同じ場所に通わなければいけないというわけではありません。
他にも要介護認定の場合は、曜日ごとに複数のデイサービスを利用することもできます。
選択の自由はご利用者側にあります。
デイサービスの利用が始まった後でも、担当のケアマネージャー等は関わり続けてくれますので、要望などがあれば伝えるようにしましょう。
できれば同じデイサービスに長く通い続けて、充実した生活を送ることができることを祈っています!
まとめ
今回はデイサービスを利用するまでの流れについてお伝えしてきました。
デイサービスを利用するまでの流れの中には、介護度の申請やケアプランの作成などが必要になります。
ですが書類の申請や作成は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で支援してくれます。
デイサービスを利用したいと思った時は、どうしたらいいかと悩むかもしれませんが、
地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に電話や直接訪問などで相談することができれば、デイサービスを利用するまでの流れは丁寧に説明して貰えます。
デイサービスを利用して充実した生活を送っていきましょう!