この記事で分かるデイサービスのことは次の通りです。
- デイサービスでの送迎の安全運転のポイント
- デイサービスで送迎マニュアルを作る目的
- デイサービスの送迎マニュアルに盛り込む内容
- デイサービスの送迎に必要な持ち物
デイサービスの送迎業務は、一日の業務の中でも職員が不安を抱えやすい業務の1つです。
- ご利用者宅に行くにはどのルートを通ると良いの?
- ご利用者の乗降時にはどんなことに気を付けたらいいの?
- ご利用者宅に駐車場が無くて送迎車をドコに停めたらいいか分からない
- 送迎中に万が一交通に遭った場合どうしたらいいの?
- 送迎中にご利用者の体調が急変対応はどうしたらいいの?
デイサービスの送迎に関しては、職員が上記のような不安や疑問を抱えることになります。
デイサービスの送迎業務は、ご利用者の命を預かる大事な業務ですので安全運転に心掛ける必要があります。
安全運転に努めるためには、送迎時のルールが必要になります。
デイサービスで送迎のルールをまとめたものが、送迎マニュアルになります。
送迎マニュアルを作成することで、安全運転につながりご利用者の急変対応や交通事故などの万が一の不測の事態に備えることにもなります。
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急変対応の手順【送迎の緊急対応】デイサービス送迎中の体調急変(症例別)と事故の対応手順を解説!
今回の記事では、デイサービスの職員が送迎時に抱える不安や疑問に対してお答えをしていきます。
安全運転の5つのポイントや送迎マニュアルに盛り込む内容についてお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いている私に関して
- デイサービス勤務歴11年以上の経験の中で、介護職、生活相談員、管理者を経験する
- デイサービスの生活相談員や管理者(社会福祉士)として10年以上にわたり相談窓口として勤務する。
- ゴールド免許です。
デイサービスの送迎は基本報酬に含まれるサービス
デイサービスの送迎は、基本報酬に含まれているサービス内容です。
デイサービスの送迎の時間はサービス提供時間には含まれないのが少しややこしい所ですが、利用料金には元々含まれているということですね。
そのためデイサービス側で送迎を行わない場合には、送迎減算として片道につき47単位の減算があります。
つまりデイサービスの送迎業務に関しても、料金を頂いているサービスとして責任をもって安全に行う必要があるということになります。
デイサービスの送迎時には主に次のような場面でご利用者の安全に配慮する必要があります。
- 送迎時の乗降介助
- 車内での体調変化の見守り
- 移動時の必要な介助
- 体調不良時の対応
デイサービスの送迎は原則として、サービス提供時間に間に合うように行う必要があります。
ですが時間に追われることで、職員の気持ちが焦ってしまい交通事故などの思わぬ事故に直結する場合もあります。
デイサービスの職員が送迎業務に対して抱える不安を解消するためにも、安全運転に関する対策やマニュアルの整備が必要です。
ここからは、デイサービスの送迎業務で安全運転を行うための5つの対策についてお伝えしていきます。
デイサービス送迎時の安全運転の5つのポイント
デイサービスの送迎業務で安全運転を行うためには、デイサービスの中で事前に対策を行う必要があります。
今回お伝えする、デイサービスでの送迎業務の安全運転対策は次の5つです。
- ルートを事前に確認する
- 交通ルールの遵守
- 事業所でのルールを決めておく
- 自治体のルールを確認しておく
- マニュアルを作成する
これらのような、デイサービス送迎時の安全運転のための対策は次のような効果をもたらします。
- 事故を起こす確率を減らす
- 不足の事態が起きた時にも焦らずに対応ができる
- 運転する職員の気持ちに余裕が生まれ運転に集中できる
デイサービスの送迎は、ご利用者の命を預かるという意味でもとても重要な業務になります。
何か起きてから動くのではなく、何か起きないようにすることや何か起きても焦らないために事前の対策をしていきましょう。
では、5つの対策について詳しく解説していきます。
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【規則厳守と柔軟性】デイサービスでルールを守るべき5つの理由と柔軟な対応をする時の手順について解説!
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ルートを事前に確認する
デイサービスの送迎では次のような様々な要因から、いつも決まったルートを走れるわけではありません。
- 曜日ごとに変わるご利用者
- 体調不良による休み
- 追加利用、振替利用
- 新規ご利用者宅
- 体験利用者宅
- 工事中によるルート変更
いつもと違うルートを走る時に「あれ?どこを通っていくといいんだろう?」と不安な気持ちを抱えながら車を走らせることは事故の元です。
いつもと違うルートを走る送迎前には、事前に走るルートの確認を行いましょう。
具体的には、次のような確認を行います。
- 送迎ルートの道順の確認
- 送迎ルート上の危険箇所の共有
- 事故多発地帯の共有
まず、送迎ルートの道順の確認は一番基本的な部分になります。
デイサービスの送迎では、デイサービスからご利用者宅だけでなく、ご利用者宅からご利用者宅のルートも把握しておく必要があります。
そのため、どのルートを経由していくと安全に送迎できるかを地図を使ったり、余裕があれば職員だけで実際に車を走らせることで確認しておきましょう。
また、送迎ルート上の危険個所や事故多発地帯の事前共有も必ず行なっておいた方がいいでしょう。
例えば、雪が降る地域であれば凍結しやすい道路の確認などもその一つですね。
実際に私が送迎をするルートでも冬期間、分かりづらくアイスバーンになっていて玉突き事故が発生しやすい地帯があります。
そういった箇所の共有は職員1人が分かっていればいいことでは無く職員全員で共有しておくことで事故を未然に防ぐことにつながります。
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交通ルールの遵守
当たり前のことなのですが、交通ルールを守ることは安全運転の基本ですよね。
ですが交通ルールを守ることが当たり前だからと言って、交通ルールを守ることを職員間で共有しておかないと事故発生の確率が高まります。
先ほども触れたようにデイサービスの送迎は時間に追われる場合があります。
そんな時に、送迎の運転手は「早くデイサービスに着かないと」と気持ちが段々と焦ってきてしまいます。
すると、送迎担当の職員が次のようなことをしてしまう可能性が出てきます。
- 黄色信号を突破する
- 法定速度を超過する
- 一時停止を無視する
- 横断者を無視する
- 車間距離を詰める
このような行為は思わぬ事故に繋がったり、警察に捕まったりと百害あって一利なしです。
こんなことを起こさないためにも、普段からデイサービスの中で交通ルールを遵守することが最優先だと共有しておく必要があります。
事業所でのルールを決めておく
送迎時のルールをデイサービスの中で決めておくことも安全運転につながる対策です。
例えば、雨や雪が降ったりすると、道路が混んで送迎がサービス提供時間に間に合わないようなことがあります。
そんな時には次のようなルールを事前に決めておきます。
時間よりも安全運転を優先させる。
こんな当たり前のような事なのですが、デイサービスの中でルールとして決めておくことで運転手は気持ちに余裕ができます。
他にも考えられるルールがありますので紹介していきます。
- 準備ができていないご利用者には再度お迎えに来る事を伝え、次の方のお迎えを優先させる
- 送迎が予定よりも遅れそうな場合は、安全な場所に停車してデイサービスに連絡を入れる。
- ご利用者の応答がない場合には、ご利用者宅に電話する。それでも応答がない場合にはデイサービスに連絡を入れ、その場を離れる。
不測の事態が起きた場合でも運転手が動揺することのないように、予期される事態に対してどういう行動をとるかというルールをあらかじめ作っておくようにしましょう。
そのルールを決めたものがマニュアルの作成になります。
マニュアルの作成に関しては、後ほどにも詳しく解説していきます。
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参考【規則厳守と柔軟性】デイサービスでルールを守るべき5つの理由と柔軟な対応をする時の手順について解説!
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自治体のルールを確認しておく
デイサービスを管轄する自治体に送迎に関するルールを確認しておくことも、安全運転をするための対策になります。
ここは自治体によって対応が変わるかもしれない部分ですので、管轄の自治体に確かめてくださいね。
送迎の部分に関して、自治体に確認しておくことは「送迎の遅れによる算定」の部分ですね。
送迎の遅れに関して次の3つの事例を紹介していきます。
- 積雪による交通マヒでの送迎の遅れ
- ご利用者側の要因による送迎の遅れ
- 感染拡大防止のための、業務追加による送迎の遅れ
積雪地帯では降雪による交通マヒなどがありますよね??
特に積雪の場合には、朝の送迎時間にかかって主要道路が渋滞してしまうなんていうことが十分にあり得ます。
ちなみに私の自治体では、積雪での交通マヒによる送迎の遅れはデイサービス計画書通りの算定を行なってもいいと返答をもらっています。
他の自治体のQ&Aを見ていると、ご利用者側に送迎の遅れがあった場合の次のような事例がありました。(要約してお伝えします。)
Q:お迎えに行ったが、ご利用者が準備できていない、トイレに行っていてデイサービスへの到着が遅れた場合の利用時間の取り扱い方は??
A:当日の利用者の心身状況からやむを得ずサービス提供時間が短くなった場合には、計画上の単位数を算定して差し支えない。
つまり、ご利用者側の要因で送迎に遅れた場合には通所介護計画書の内容が生きるということですね。
コロナウイルスの感染拡大防止の取り組みに関しては次のようなQ&Aがありました。(要約してお伝えします。)
Q:乗車前の検温により、デイサービスへの到着が遅れサービス提供時間が短くなった場合の利用時間の取り扱いは?
A:計画に位置付けられた、単位数が算定できる(遅れたことを記録しておく)。しかし事前に遅れることが予想できるのであれば計画の見直しを行ってください。
この場合は、検温により突発的に遅れる場合には計画通り算定できるけれども、その状態が繰り返すようであれば通所介護計画書自体を見直してくださいねということですね。
このような事案は、集団指導で説明がされていたり、デイサービス事業所個別から自治体への問い合わせによって明確になります。
デイサービスの送迎時にイレギュラーな出来事が起きると職員は「とにかく早くデイサービスに着かないと」と焦ってしまいますよね。
自治体にルールを確認しておくことで、安心して送迎業務を行なうことができるようになります。
送迎マニュアルの作成をする
事業所でのルールを決めておくの項目でもお伝えしましたが、デイサービスでは送迎に関するマニュアルを作成しておくことはデイサービスの職員が安全運転をすることにもつながります。
また送迎マニュアルは、デイサービスのルールになるだけでなく不測の事態が起きた時の指針にもなります。
この項目では安全運転のための対策としてお伝えしていますが、2次災害を起こさないための対策という意味でお伝えしていきます。
例えばデイサービス送迎時の不足の事態には次のようなものがあるでしょう。
- ご利用者の体調の急変
- 交通事故の加害者になる
- 交通事故の被害者になる
- 渋滞等による送迎の遅れ
- 自宅にご利用者がいない
- 自宅でご利用者が倒れていた など
この中で交通事故1つを見てみても、送迎の運転手は次のようにいくつかの対応をすることになります。
- 安全な場所への移動
- ご利用者の体調の確認
- 相手方の体調の確認
- 車両の確認
- 警察への連絡
- デイサービスへの連絡
万が一事故が起きた時には、運転手はパニックになってしまい冷静な対応ができなくなってしまいます。
送迎に関するマニュアルでフローチャート化しておくことで、状況に応じた適切な対応ができるようになります。
では、デイサービスの送迎業務のマニュアルがなぜ必要なのか、その目的をもう少し詳しくお伝えしていきます。
デイサービスの送迎マニュアルを作る目的
デイサービスの送迎は日々、繰り返し行われる業務です。
送迎業務は職員が一人で対応することもあり、デイサービスの職員が不安を抱えやすい業務でもあります。
安全運転の為だけでなく、デイサービス職員の不安を解消したり、不測の事態に備えるためにも、マニュアルの作成が必要になります。
とはいえデイサービスの送迎マニュアルの内容には、これと言った決まりはありません。
ですので、デイサービスの送迎マニュアルを作る際はまずはマニュアルを作成する目的を明確にする必要があります。
送迎業務のマニュアルを作る目的は主に次の通りです。
- 送迎全般に関するルールの共有
- 車両の管理、操作ルールの共有
- 事故や緊急時の対応の共有
- 乗降介助のルールの共有
- 安全運転の意識強化
私のデイサービスでもマニュアルの目的を明確にして作成することで、送迎時のルールの統一や不測の事態への対応の統一ができるようになりました。
もちろん作るだけではなく、内容を職員全員で理解しておくことが大事ですので忘れないでくださいね。
ではデイサービスの送迎マニュアルには、具体的にどのような内容を盛り込むといいでしょうか?
デイサービスの送迎業務マニュアルに盛り込む内容をお伝えしていきます。
-
参考【業務効率化に必須】あなたのデイサービスで実用できるマニュアル作成のコツとポイントをお伝えします。
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デイサービスの送迎マニュアルに盛り込む7つの内容
デイサービスの送迎マニュアルを作る目的が決まったら、盛り込む内容について考えていきます。
デイサービスの送迎マニュアルには、マニュアルを作成した目的を達成するための内容を入れていくわけです。
とはいえ、デイサービスによって実情は変わるので独自の内容を入れていく必要があります。
具体的には送迎マニュアルには、次のような内容を盛り込んでそれぞれの内容を詳しく説明していく形をとると職員にもわかりやすいでしょう。
- 送迎前後のルール
- 送迎車への乗降時のルール
- 送迎中(運転時)のルール
- 送迎車両操作のルール
- 事故発生時の対応
- ご利用者急変時の対応
- 交通ルールの遵守
それぞれの内容に関して具体的にどのようなことを書いていくと良いのか説明していきます。
送迎前後のルール
送迎前後のルールとしてマニュアルに書いていくのは、次のような内容です。
- 出発前の送迎順の確認方法
- 車両使用前後の車両点検
- 車両使用後のガソリン給油
- 車両清掃
上記の内容を、私のデイサービスでは概ね次のように送迎マニュアルに記載しています。
- 出発前に、運行表(後ほど説明します)に迎えに行くご利用者の名前を書いておく
- 出発前に決められた車両点検項目の点検を行い、運行表にサインする
- 車両使用後はメーターが半分を切っていたら運転手が給油を行う
- 各車両の担当職員は、毎週1回車両の清掃を行う。
これらの内容をさらに具体的に、実際にどんな行動をするべきかをマニュアルには盛り込んで行きます。
例えば車両点検では次のような表を使っています。
車両点検は、毎日繰り返しおこないます。
車両に異常があれば管理者や生活相談員に報告をして、異常の程度によって車両の使用を中止するという具体的なルールまで決めています。
送迎で車両を使用する際のルールを決めておくことで、送迎の抜けや車の不具合によるトラブルなどを回避することができます。
送迎車への乗降時のルール
デイサービスの送迎車への乗降時のルールもマニュアルの中で定めておくと良いでしょう。
具体的には、大きく次の2つについて記載しておきます。
- 送迎車両を駐車する位置
- ご利用者の乗降に関するルール
送迎車両を駐車する位置に関しては、デイサービスの職員が意外と悩ましく感じている部分ですよね。
ご利用者宅に駐車場があれば一番いいのですが、必ずしもそうでない場合があります。
ご利用者宅に駐車場がない場合には、担当者会議や契約の時点で駐車場所を必ず確認しておくルールを明確かしておきましょう。
駐車場所が共有されず、職員のその時々の判断となれば後ろから追突されたり、警察に違反とみなされるなどのリスクがあります。
ご利用者が送迎車に乗降する際のルールに関してです。
ここに関しては、意外とルール化されずに職員のその時の対応に任されている場合が多いかもしれませんよね。
ですがデイサービスのご利用者が送迎車に乗降する際のルールも、マニュアル化しておかないと思わぬ事故につながる可能性があります。
例えば次のような内容をマニュアルに盛り込んでおくと良いでしょう。
- ご利用者の乗降時には、荷物や杖などは一度お預かりする
- ご利用者が頭をぶつけないように入り口の上部を手でカバーしておく
- 車両の扉が風で煽られて急に閉まらないように手で押さえておく
- 道路側からの乗降はしない
細かい内容だなと思うかもしれませんが、思わぬ事故が起きて辛い思いや痛い思いをするのはご利用者です。
そうならないために、リスク管理をして未然防止に努めるのはデイサービスの責務だと思っておきましょう。
送迎中(運転時)のルール
送迎中(運転時)のルールとしてマニュアルに盛り込むのは、次のような内容です。
- 交通ルール遵守
- サービス提供時間に間に合わない場合の対応
- ご利用者の体調確認のルール
デイサービスの送迎は、1人の職員で行うことがあります。
そのため、送迎運転中のルールを明確にしておくことで不安なく送迎業務を行なうことができるようになります。
送迎中のマニュアルには、交通ルールを守ることやサービス提供時間に間に合わない場合の対応などを書いています。
例えば、デイサービスの送迎をしていると渋滞などによってデイサービスへの到着が遅れそうになることがあります。
遅れるかもしれないと思った時点で次のような対応をしていく必要がでてきます。
- 安全な場所に停車する
- デイサービスに連絡を入れる
- どのくらい遅れそうか伝える
デイサービスへの到着が遅れそうな場合には『事前に連絡を入れる』というマニュアルを作っておくことで送迎の担当職員も気持ちが焦ることなく安全運転に徹することができるようになります。
できればデイサービスで携帯電話を準備しておくことが望ましいですが、コストもかかることですので個人携帯の使用が可能かどうかを含めてデイサービス内でルールを決めておくようにしましょう。
送迎車両の操作のルール
送迎車両の操作としてマニュアルに盛り込むのは、主にリフト車の操作方法です。
車椅子のご利用者でも乗ることができるリフト車には、ハイエースのようなバンタイプから軽自動車まで様々あります。
車によってとリフトの操作方法も変わりますから、デイサービスで所有しているリフト車の操作を載せるようにしましょう。
私の失敗体験もありますので紹介していきます。
私のデイサービスでは、リフト車を3台持っていてそれぞれ操作方法が違います。
新入職員にもそれぞれの操作方法の研修も終わり、いざ送迎をお願いしたらリフト車の前で動きが完全に止まってしまいした。
「リフト車の操作が分からない」とのこと。
後で聞いたら「3台のうち2台は完璧にわかっていたが、よりによって自信がなかった車両の送迎担当になってしまった」とのこと。
この経験以降、リフト車の研修を行う時にはそれぞれの車両ごとに操作のチェックリストを作って合格したら研修修了という形をとるようにしました。
それぞれのデイサービスでも様々な工夫が必要かもしれません。
事故発生時の対応
送迎前後のルールとしてマニュアルに書いていくのは、次のような内容です。
- 物損事故を起こした場合
- 車両同士の事故を起こした場合
- 車両同士の事故を起こされた場合
- 人身事故を起こした場合
特に事故発生時やご利用者の急変時には、一人で送迎業務をしている職員は動揺しやすい事案です。
ここの内容はできる限り簡単にわかりやすく職員が取るべき行動を書いておくようにしましょう。
例えば、物損事故の場合には次のような事を書いておきます。
- 安全な場所に停車する。
- ご利用が乗っていたら体調確認
- 警察(110番)に連絡
- デイサービスに連絡(0000-1234-5678)
- 警察の到着を待つ
送迎中に事故を起こしてしまった場合、冷静な判断ができなくなることがあります。
そのため私のデイサービスでは、マニュアルとは別にフローチャートにしたものを送迎に持っていくファイルに挟んでおくようにしています。
デイサービスは連絡の窓口として、必要に応じて別の車両で現場に向かいご利用者の送迎を変わるなどの対応をする必要が出てきます。
大事なことは万が一、事故が起きた場合に対応ができるようにすることです。
ご利用者急変時の対応
ご利用者急変時の対応としてマニュアルに書いていくのは、主に次のような内容です。
- ご利用者が嘔吐した場合
- ご利用者が意識喪失した場合
- ご利用者が転倒した場合
ご利用者急変時の対応は事故発生時と同じように、特に職員が不安を抱える部分です。
デイサービスの中でのご利用者の体調変化は、看護職員や他の職員もいるので総合的に判断ができます。
ですが、デイサービスの送迎時は職員が1人になることもあります。
そんな状況でご利用者の急変がおきることは職員にとっても大きな精神的な負担になります。
事故発生時の対応と同じで分かりやすく明記しておく必要があります。
特に現場の判断で119番通報をしていいのかどうかは、曖昧にせずに断定して書いておいた方がいいでしょう。
デイサービスの契約時に、送迎中の急変時には現場職員の判断で119番する場合があることも同意を頂いておくことも対策の一つになります。
交通ルールの遵守
運転時のルールの中でも少しだけ触れたのですが、交通ルールの遵守も送迎マニュアルに盛り込んでおきましょう。
交通ルールの遵守と聞くと当たり前のように聞こえるかもしれません。ですが、ここもデイサービスの中でマニュアル化しておかないと「このくらいなら、いいか」と気のゆるみが出やすい所です。
送迎マニュアルの中では、交通ルールの遵守に関して次のような内容を盛り込んで行きましょう。
- 制限速度の遵守
- 一時停止の遵守
- 横断歩道での歩行者優先
- 信号の遵守(黄色信号は特に注意)
- バスやタクシーの進路妨害
- 整備不良
- 泥はね注意
1つ1つ具体的に見ていくと、長くなってしまいますので2つだけ紹介していきます。
横断歩道での歩行者優先です。
信号機のない横断歩道では、横断する(しようとする)歩行者がいる場合には、横断歩道の手前で一時停止して歩行者が優先となります。
デイサービスの職員でも意外と知らない職員が多いので、送迎マニュアルを通して職員の共通認識を持っておきましょう。
次に、信号の遵守に関してです。
青色は進め、赤色は止まれの信号ですが、意外と違反しがちなのが黄色信号です。
黄色信号は急いで渡れではなく、原則として赤と同じ止まれの意味ですので注意しましょう。
ここは分かっていてもデイサービスの送迎で急いでいる時には、黄色信号でも加速して突破してしまうことがあります。
黄色信号は安全に停止できない場合を除いて、停止線の前で止まらなければいけません。
その意味も含めてデイサービスの送迎マニュアルに盛り込んでおくことをオススメします。
デイサービス送迎の基本は玄関から玄関まで
デイサービスの送迎業務でよく次の質問を受けることがあります。
デイサービスの送迎は自宅内まで行うの?
私が出す答えは「デイサービスの送迎の基本は自宅の玄関から玄関まで」です。
というのも、自宅内まで送迎を行って介助することは、長時間にわたって車内に他のご利用者を放置する場合が出てくることになるからです。
一律に「できません。」とお断りすることも方法の一つなのですが、デイサービスの中で「○○分以内の介助であれば可能」など条件を決めたうえで受け入れを行うことをおススメします。
例えば、自宅内まで送って排泄介助をしてから場を離れるなどは、時間がかかりますし車内に待っているご利用者へのリスクも大きいですよね。
ですが、送ったついでに自宅内の電気をつけることは数秒程度で終わることなので送迎の一連の動作で行うことができます。
ですのでその程度の要望であれば、受け入れてもそこまで大きな問題は抱えずに済むかなと思います。
込み入った要望を受け入れるにはケアプランに組んでもらったり、そもそも受け入れないという選択も方法の一つです。
デイサービス送迎に必要な4つの持ち物と使い道
ここからは、デイサービスの送迎時に必要な持ち物について紹介していきます。
デイサービスの送迎時には、必要最低限の持ち物を準備する必要があります。
送迎時に必要な持ち物は次の4つです。
- 送迎ファイル(車両運行表・運転日誌)
- 体温計
- 体調不良への対応グッズ
- 携帯電話
これらの持ち物は安全に送迎を行ったり、不測の事態に備えるために必要となります。
万が一、不測の事態が起きた場合に成す術無しにならないように備えておきましょう。
それぞれの持ち物がなんのために必要かお伝えしていきます。
送迎ファイル(車両運行表・運転日誌)
送迎ファイルには車両運行表や運転日誌などと呼ばれるものを綴じていきます。
車両運行表には次の内容を盛り込んでいきます。
- 車両の運行を行う年月日
- 運転手、添乗者
- 送迎を行うご利用者名
- 車両点検の記録
これらは運行の記録になるので、自分が送迎を行うご利用者の確認や車両点検の記録を残しておくことができます。
送迎前に、送迎作成担当職員によって決められた送迎順を運行表に転記するようにしましょう。
プラスαで、給油の記録やメモの欄があるといいかもしれません。
以下のようなイメージで、私のデイサービスでもこれに近い形の書式を使用しています。ExcelやWordでも簡単に作成することができます。
送迎ファイルには、運行記録の用紙とは別に綴じておくといいものがあります。
- 事故発生時の対応フローチャート
- ご利用者の急変時の対応フローチャート
- ご利用者の緊急連絡先表
これらを送迎ファイルに入れておくことで、様々な不測の事態にも迅速に対応できるようになります。
その分、個人情報も一緒に管理することになるので、取り扱いに関しても十分に注意が必要です。
送迎ファイルは、フラットファイルつかうと管理がしやすいでしょう。
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体温計
体温計は以前までは、インフルエンザの流行時期などに限定して送迎に持ち出していたデイサービスも多いでしょう。
ですがコロナ禍の送迎時において体温計は、常に必須の持ち物となりました。
新型コロナウイルスが5類として扱われるようになった今でも、体温計を持ち出すデイサービスは多いのではないでしょうか??
体温計は、送迎車に乗り込む前に使うようにしましょう。
ご利用者が送迎車に乗る前に体温を測ることで、万が一発熱があった場合にその場で対応をすることができるようになります。
デイサービスに到着した後に、発熱が分かるよりもその場でわかることで他のご利用者への影響も最小限に食い止めることができます。
ちなみに私のデイサービスでは、迎え前に検温しておいていただくようにご利用者側にお願いしたこともありました。
ですがご家族の負担や確実性などの意味でデイサービス側で行う様にしました。
乗車前の検温は、ずっと継続していってもいい業務かなと思っています。
乗車前に臨機応変な対応もできますので、体温計は送迎時に持って行くことをオススメします。
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体調不良への対応グッズ
デイサービスの送迎は高齢者を車に乗せるという特性上、体調の変化にも対応できるように準備しておく必要があります。
ご利用者の体調不良への対応グッズとしては、次のような物を準備しておきます。
- ビニール袋
- 新聞紙
- ディスポーザブルグローブ
上記のものはエコバッグのような物にまとめて準備しておくようにしましょう。
送迎中に、ご利用者が万が一嘔吐した場合や気分不快を訴えた時に備えておくといいでしょう。
携帯電話
携帯電話はできれば、デイサービスで契約をして業務用として準備しておくことをオススメします。
デイサービスの送迎業務で携帯電話は、次のような場面で活用します。
- デイサービスに連絡する場合
- ご利用者宅に連絡する場合
- 警察に連絡する場合
送迎時に職員が持参して行くことで、様々な場面で活用ができます。
例えば、先ほどもお伝えしたような到着時間が遅れそうな場合にもデイサービスに一本連絡を入れる事ができるだけで気持ちが落ち着きます。
またデイサービスを連絡の窓口にしながら、他の送迎車両に代わりに送迎に行ってもらうなどの状況に合わせた対応ができるようになります。
携帯電話は、送迎以外の業務でも意外と活用場面がありますのでデイサービスで準備するようにしましょう。
┃送迎用の携帯電話はガラケーがオススメ!!┃
まとめ
今回はデイサービスの送迎業務の安全運転の対策やマニュアル、持ち物などに関してお伝えしてきました。
デイサービスの送迎時の安全運転の5つのポイントをお伝えしてきました。
- ルートを事前に確認する
- 交通ルールの遵守
- 事業所でのルールを決めておく
- 自治体のルールを確認しておく
- マニュアルを作成する
デイサービスの送迎マニュアルは様々なルールの共有や、ご利用者の体調急変や交通事故の発生などの不測の事態に備えるために必要になります。
デイサービスの送迎マニュアルには次のような内容を盛り込むことで、安全運転や急変対応につながっていきます。
- 送迎前後のルール
- 送迎車への乗降時のルール
- 送迎中(運転時)のルール
- 送迎車両操作のルール
- 事故発生時の対応
- ご利用者急変時の対応
- 交通ルールの遵守
デイサービスの送迎時の持ち物は、送迎表や体温計等があります。
それぞれのデイサービスの中で必要最小限な持ち物を検討して、ご利用者の急変対応や交通事故などのイレギュラーな出来事にも迅速に対応できるように準備していきましょう。
デイサービスの送迎業務は、マニュアルを作成してルールや環境整備を行うことで不安を解消できる業務です。
それぞれのデイサービスの実情に合わせた対策や送迎業務マニュアル作成を行なって、安全運転に努めていきましょう!