この記事で分かるデイサービスのことは次の通りです
- 職員を覚えられない職員への教え方のコツ
- デイサービス職員が仕事を覚えられない原因
- 仕事が覚えられない職員へのリーダーの関わり方
- デイサービス職員が仕事を覚えられない場合の他の原因
デイサービスの指導係やリーダーとして職員の教育や指導をしていると、なかなか仕事を覚えられない職員に出会うこともあります。
指導係やリーダーが丁寧に教えているつもりでも職員がなかなか仕事を覚えられないと、「あれ?私の教え方が悪いのかな?」と悩みの種になることもあるでしょう。
しかし、デイサービスで働く人の中には仕事の覚えが早い人と仕事がなかなか覚えられない人がいるのは事実で、必ずしも教え方に原因があるとは言えません。
私自身もデイサービスで指導係になったり現場のリーダーとしてやっていた時に、なかなか仕事を覚えられない職員に出会うことがありました。
デイサービスの管理者になってからも、指導係や現場リーダーの職員から「なかなか仕事を覚えられない職員がいる」と次のような相談を受けたこともあります。
- 今日理解していたはずのことを、翌日にできなくなっている。
- 何回も同じことを聞いてくる。
- メモを取らない。
- 特定の仕事だけがなかなか覚えられない。
- 覚えようとする気を感じられない。
仕事を覚えられない職員は様々な原因を抱えている場合があります。
デイサービスで指導係やリーダーが、仕事を覚えられない職員への関わり方を変えることで職員の仕事の覚え方は変わります。
今回は、私がデイサービス勤務経験で実践してきた仕事を覚えられない職員への教え方のコツや関わり方を解説していきます。
この記事を書いている私に関して
- デイサービス勤務歴11年以上の経験の中で、介護職、生活相談員、管理者を経験する
- デイサービスの管理者(社会福祉士)として8年以上にわたり職員の教育指導に携わる
ぜひ、最後までご覧ください!!
デイサービスで仕事を覚えられない職員への教え方のコツ
デイサービスで働く職員の中では、仕事がなかなか覚えられない職員が実際にいることは冒頭でもお伝えした通りです。
デイサービスの中で仕事が覚えられない職員に対して「どんな教え方をして行くといいのかな?」と悩む指導係やリーダーも多いでしょう。
サジを投げたくなる気持ちも分かりますが、仕事を覚えられない職員への教え方のコツをつかむことで次のようなメリットも発生します。
- 職員がデイサービスの戦力として活躍してくれる
- 指導係やリーダーのスキルアップにつながる
- 仕事を覚えられなかった職員が次の職員に指導することになり感慨深い
このメリットはデイサービスのチーム全体のレベルアップや離職防止にも直結していきます。
今回お伝えする、仕事を覚えられない職員への教え方のコツは次の3つです。
- 覚えられない原因を分析する
- できた部分を認める
- 期待しない
教え方のコツを知っておくことで、仕事を覚えられない職員への関わり方のヒントにもなります。
それでは、詳しくお伝えしていきます。
教え方のコツ①覚えられない原因を分析する
仕事を覚えられない職員に出会った場合には、なぜ覚えることができないのかその原因を分析することが教え方のコツの1つ目です。
事故報告書の書き方の記事でもお伝えしましたが、改善は原因が分かってこそできるものです。
まずはなぜ仕事を覚えることができないのかが分からないと、指導係やリーダーの教え方のアプローチもどのように変化させていったらいいか分からないですよね?
- そもそも覚えようとするやる気が無い
- 指導係やリーダーの教え方が有っていない
- はたまた他の原因によって仕事を覚えられない
デイサービス職員が仕事を覚えられない原因によって指導係やリーダーの関わり方は変わってきます。
デイサービス職員が仕事を覚えられない原因ごとの関わり方は後ほどデイサービス職員が仕事を覚えられない7つの原因と関わり方で詳しく解説していきますのでぜひそちらもご覧ください。
続きを見る
【社会福祉士が解説】デイサービス事故報告書の質を高める書き方と5つのNG行動を解説!!
教え方のコツ②できた部分を認める
仕事を覚えられない職員に限らずですが、できた部分を認めることも教え方のコツになります。(事例も記載しています。)
できたことを認めてもらえば多くの人は嬉しく感じますよね?
それはデイサービスで仕事を覚えられない職員でも一緒です。仕事を覚えられない職員ができるようになった時に指導係やリーダーが認めることで「また次も新しいことを覚えたい」と思うようになる効果があるでしょう。
ここではあえて褒めるではなく認めるという言葉を使っていますが、子どもを褒める感じではなく、できたことを認めるイメージで関わることが教え方のコツです。(微妙なニュアンスなんですが伝わりますかね)
できた部分を認める時のコツとしては次の通りです。
- 名前を入れる
- 具体的にどこが良かったのか言葉にする
- 過程を認める
- 次に達成できる目標も添える
できた部分を認める時には「○○さん」と相手の名前を呼んで伝えることで、職員は「自分に言ってくれている」と感じるようになるのでより効果的になります。
また、具体的にどこが良かったのかを明確にしたり、できるまでの過程を認めることで職員は自分のことをしっかり見ていてくれるという意識になります。
認める時のコツを実践してみると例えば次のような認め方になります。
ベッドメイクでの一場面
「○○さん(名前を入れる)、今日はベッドのシーツの敷き方がかなり綺麗でいいですね。特に角がしっかりピシっとなっているので見てるだけで気持ちいいですね。(具体的に認める)
昨日教えたところを自分でメモを見返しながらできていたので(過程を認める)さらにバッチリですね!慣れてきたら50分までに終わらせられるように(次に達成できる目標)していきましょうね!」
職員が自分は見られていると感じるようになると緊張感が生まれ、仕事を覚えようとする意識にも変化が見られるようになります。
できている部分を明確に伝えながら次の目標を添えていくと、職員は「ここまではできているのか。んじゃ次はここまで頑張ろう!」という意識に変化していくことが期待できます。
教え方のコツ③期待しない
冷酷な言い方に聞こえるかもしれませんが、デイサービスで仕事を覚えられない職員に対しては期待しないことも教え方のコツの1つになります。
どちらかというと心構えの部分でしょうかね?
ここで勘違いしてはいけないのが『期待しない=適当に教える』ではないということです。
期待しないということは、教えることはしっかりと教えていくけれどもできなくて当たり前という心構えで教育や指導に臨むことですね。
指導係やリーダーが仕事を覚えられない職員に期待すると、教えたことは的確にやってくれるだろうと成功を求めてしまいます。
職員にこのくらいはできるだろうと期待すると次のような悪循環に入りがちになります。
- 「このくらいはできるだろう」と期待する
- 職員ができなかった時にガッカリする
- 次に上手くやってもらうためにはどうしたらいいか?と考える
- それでもできなくてガッカリする
- できない原因は職員側にあると思う様になりイライラしだす
- 職員にもイライラが伝わりプレッシャーを感じるようになる
- 職員がプレッシャーを感じると余計に仕事を覚えられなくなる
- 指導係やリーダーは教えることを諦め始める
デイサービスの指導係やリーダーが職員に期待することは職員にプレッシャーを与え、余計に仕事を覚えられない結果につながります。
職員に期待しないためには、次のような考え方は捨てて指導や教育に臨むといいでしょう。
- 失敗してはいけない
- 成功を求める
- 自分ができることは相手もできると思う
- 自分がやっている仕事をいずれ相手に任せたい
仕事を覚えられない職員に期待してプレッシャーを与えてしまうよりは「できる部分をやってもらってるだけでもいいかぁ」と考え方を変えることで、逆に職員にとっては仕事を覚えやすい環境になる場合もあるということを覚えておきましょう。
では、仕事を覚えられない職員は具体的にどのような原因から仕事を覚えられないのでしょうか?
職員が仕事を覚えられない原因によって、職員への関わり方も変わってくるでしょう。
私自身のデイサービスでの指導やリーダー経験をもとに、職員が仕事を覚えられない7つの原因とそれぞれの関わり方をお伝えしていきます。
デイサービス職員が仕事を覚えられない7つの原因と関わり方
デイサービスで介護リーダーなど職員の指導係を任されている職員にとって、仕事を覚えられない職員は悩みの1つになります。
ですが『その職員がなぜ仕事が覚えられないのか?』その原因を知ることによって、仕事を覚えられない職員への関わり方のヒントになることがあります。
実際に私もデイサービスの管理者としてこれまで多くの職員を見てきましたが、仕事が覚えられない職員には主に次の7つの原因があるといえるでしょう。
- 覚えることが苦手
- メモを取らない、活用できない
- 職員の経験に対して情報量が多すぎる
- 分からないことを放置している
- 苦手だと思う仕事を意図的に避けている
- 仕事だという意識が欠如している
- 専門用語に追い付いていない
1人の職員が7つ全ての原因を持っているわけではなく、1つの原因によって仕事が覚えられなかったり、複数の要因が絡み合って仕事が覚えられない場合があります。
リーダーや指導係になっている方は、対象の職員がなぜ仕事を覚えられないのかを見極めて適切な関わり方をしていきましょう。
覚えることが苦手
デイサービス職員が仕事を覚えられない場合、そもそも覚えることが苦手という場合があります。
実はこの記事を書いている私自身も覚えるということはめちゃくちゃ苦手です。社会とか英単語とか理科とかが苦手系人間です・・・。
記憶力を高める方法みたいな本を読んでも、その内容を忘れるので意味がないんですよね。。。
さて話を戻しますが、私も含め覚えることが苦手な人に対していくら言葉で説明をしても『糠に釘』いや『豆腐にかすがい』状態です。
そもそも覚えられないのに、情報を与えられても仕事が覚えられないですよね。ましてや、デイサービスでの仕事はそもそも覚えなければいけないことが多く、ご利用者1人1人によって対応も変わりますよね?
覚えることが苦手な職員の特徴としては説明を聞いたり、ペーパーを見ている時には間違いなく理解をしている場合が多いです。ですが、いざ現場に出ると頭の中がほぼ真っさらという状況になりがちです。
デイサービスで覚えることが苦手な職員へのリーダーや指導係の関わり方は『身体を動かす機会を増やす』ようにしましょう。
どういうことかというと例えば次のような関わり方が考えられます。
関わり方の例
- 1つ教えて1つやってもらう。
- 説明しながらやってもらう。
- とにかく回数をこなしてもらう。
そもそも覚えることが苦手な職員には言葉で説明するよりも、現場で身体を動かしてもらい身体で覚えてもらうことの方が効果的でしょう。とにかく経験させて、経験値を貯めていくということですね。
言葉やペーパーなどで一度に教える情報量が多すぎると、いざ現場に出た時に覚えていなくて実践できないので、1つ教えて1つやってもらうようなイメージで関わるようにしましょう。
もちろん人によっては1つずつではなく2つや3つなど一気に教えてできる場合もありますので、職員の力量に合わせていくようにしましょう。
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デイサービスの介護職員の仕事内容とは?
必要なスキルや必要な資格についてもお伝えします。
メモを取らない、活用できない
メモを取らなかったり、メモを取っているんだけれども活用できないこともデイサービスで仕事が覚えられない原因の1つになります。
私も指導係として職員に関わると、次の2パターンの職員に出会うことがよくあります。
- 自分からメモを取ろうとしない職員
- メモを取っていても、今日教えたことを翌日に聞きに来る職員
前者に関しては色々と教えていく中で「メモ取らなくて大丈夫?」と聞くと「あぁ、取ります。」とそこでようやくメモを取り始めるケースは意外と多いものです。
また熱心にメモを取っていても、今日教えたことを翌日に「すみません、〇〇ってどうでしたっけ?」と聞きに来るケースもあります。
このケースでは「昨日メモ取ってたと思うけど、なんて書いてある?」と聞くと、昨日のメモのページを探し出し「書いてありました!ありがとうございます」と謎の時間が生まれますね。
上記のようにメモを取らない、メモを取るんだけれども活用できない職員には次のような特徴があります。
- メモを取る意味を理解していない
- メモを取る習慣がない
- 自分の記憶力を過信している
- メモを取って悪いと思っている
- メモを取るだけで安心している
- 自分に合ったメモの取り方が分かっていない
- 説明が早くてメモが追い付いていない
デイサービスでメモを取らない職員と、メモを活用できない職員では少し関わり方が変わってきます。
ですが共通して言える関わり方は『メモを意識させる』ということですね。
メモを取らない職員には、メモを取ることを意識させる。
- 事前にメモを取るように声をかけておく。
- 教えたことは今日だけじゃなく、1年後にも必要な情報だと説明する。
- メモを取らずに同じことを聞くのは人の時間を奪っていることだと説明する。
メモを活用できない職員にはメモを見ることやメモの取り方を意識させることになります。
- 事前に昨日のメモを見返すように声をかける。
- 指導係の言葉全てではなく要点をメモするように助言する。(慣れるまでは要点を強調して話す)
- 一日の終わりに教えたことを一緒に復習してみる。
上記はデイサービスでメモを取らなかったり、活用できない職員への関わり方の一例です。
メモを意識してもらうためにその職員に合った関わり方を見つけていきましょう。
職員の経験に対して情報量が多すぎる
職員の経験に対して情報量が多すぎることも、デイサービスで仕事が覚えられない原因です。ここまで、2つ紹介してきたデイサービスで仕事が覚えられない原因とは少し毛色が違うかもしれません。
というのも、これまで解説してきた2つの原因はどちらかというと職員本人の要因が大きかったです。
ですが、経験に対して情報量が多すぎるという原因は職員本人よりもデイサービス側の要因が大きいですね。
デイサービスで職員に対して指導教育を行う際には、次のような条件で行なっている場合が多いでしょう。
- 研修期間が決まっている
- 誰に対しても同じマニュアルや研修要綱を使っている
- 細かい部分まで教える時間が取れない
デイサービスに限らずかもしれませんが、新入職員が入職した時には研修期間が決められている場合が多いでしょう。
それに加えて、誰に対しても同じマニュアルを使って研修を進めている場合には、職員によって理解度も変わってきますよね?
例えば次の3人の職員に対して、同じ期間で同じ内容の研修で大丈夫でしょうか?
- 職員A:他のデイサービスで介護職として10年の勤務経験を経て当デイサービスに転職
- 職員B:今年福祉系大学を卒業して、当デイサービスに就職(社会人として初めての就職)
- 職員C:他業種で15年の経験を積んだけど一念発起し、当デイサービスに転職
介護経験の有無、社会人経験の有無などでも教え方や教える内容を変えていく必要があります。
ですのでデイサービスの指導係やリーダーとしてとしては次のような関わり方をしていくようにしましょう。
関わり方の例
- キャリアパス制度での階級に合わせた研修要綱を準備しておく。
- その方が入職してきた時のレベルや経験値に合わせた研修や教育を行なう。
- 職員のスキルが可視化できる仕組みづくりを導入する。
また他にもそもそもの業務量が多すぎると、いくらベテラン職員と言えども全てを覚えきることができない事態に陥ります。
デイサービスの業務量を見直して、マストでない業務は削っていくことも考えていきましょう。
分からないことでも、分かったことにしている
デイサービスで仕事が覚えられない職員は、分かっていないことでも分かったフリをしている場合があります。
なんでも「はい」「はい」と話を聞いている職員がいる場合には、本当は分かっていないけど、分かったことにしている可能性があるので注意が必要です。
デイサービスで仕事が覚えられない職員が分かったフリをする理由には次のような要因があるでしょう。
- 分からないことが悪いことや恥ずかしいことだと思っている
- 分からないことをそのままにしておく癖がついている
- 指導係が「このくらいわかるよね?」感を出している
- 分からなくて怒られた経験をしたことがある
- 何が分からないのか分かっていない
- 説明が長く分からなかった所がどこだったか分からなくなっている
私が職員と関わっていて特に多いと感じるのが、分からないことを恥ずかしいと思っているケースです。
介護職員としての経験が長く、今さら介護の基本を聞けないとか、「分からない」と言ったら敗北感を感じるという職員が意外と多いようです。
ただそこには職員が過去に分からないことがあった時に、怒られたとか馬鹿にされたなどのネガティブな経験でトラウマを抱えている場合があります。
また、リーダーや指導係が「このくらいわかるよね?」という雰囲気を出していると、職員は分かっていないことでも質問しづらくなります。
どんな理由にせよ分からないのに分かったフリをしていると、仕事が覚えられない原因になっていきます。職員の気持ちにも配慮しながら関わり方を考えていく必要があります。
デイサービスの職員が分からないことを分かったことにすることが無いようにリーダーや指導係は次のような関わり方を心掛けていきましょう。
関わり方の例
- デイサービス全体で分からないことを放置しない雰囲気作りをしていく。
- 分からないことを放置することのリスクを伝える。
- 質問してもらうことで、自分(リーダーや指導係)が分からないことも明確になることを伝える。
- 都度、分からないことがないか確認する。
- 「○○はどういう意味か分かる?」と自分から相手に質問してみる。
- 職員個人に対してではなく、全体への研修という名目で指導する。
分からないことでも分かったことにして仕事を覚えられない職員に対しては、まずは質問しやすい雰囲気作りをしていくようにしましょう。
まずはデイサービスでは分からないことを放置しておくと、チームケアができなくなり事故の確率も高くなるなどのリスクがあることを事前に伝えておきましょう。
それによって、職員にも緊張感が高まり質問をしやすい雰囲気になります。
また職員から分からないことを聞いてもらうことで、指導係の勉強にもなる事ということを職員に伝えておくことも効果的でしょう。
その他にも分からないことを質問するタイミングを小まめに作ったり、指導係やリーダーから職員に質問してするなど職員に発信の機会を与えることも関わり方の1つになります。
苦手だと思う仕事を意図的に避けている
「職員Aさんはある特定の仕事がなかなか覚えられないなぁ」と感じる場合には、苦手だと思う仕事を意図的に避けている場合があります。
仕事が覚えられない職員が苦手な仕事を意図的に避ける理由としては次のようなことが考えられるでしょう。
- 他の仕事で他の職員以上に頑張っていると思っている。
- その仕事が給料に見合っていないと思っている。
- 楽をしたいと思っている。
- 失敗したくないと思っている。
- 失敗した時のリスクを考えている。
- 期待をプレッシャーに感じている
デイサービスでは、ご利用者に直接関わる仕事、書類作成、レクの準備など多岐に渡る仕事内容があります。
その中で、人によって得手不得手があるのは当然のことです。苦手だと思う仕事を意図的に避けることに関しては、賛否両論があるでしょう。
指導係やリーダーにとっては、職員が苦手だと言っていることを強制させていいのかと悩み所でもあるかもしれません。
ですが1人の職員が苦手な仕事を避けてその仕事を覚えられないことで、他の職員に負担がかかっている事実があることは伝えておくべきです。
そのうえで職員が苦手な仕事にも取り組もうとしているのであれば、次のような関わり方をしていきましょう。
関わり方の例
- どこを苦手や不安と感じているのか確認する
- 指導係やリーダーがやって見せる
- 成功体験ができるようにできそうな部分からやってもらう
苦手な仕事を避けている職員は、その仕事に対して「失敗したらどうしよう」と思っているかもしれません。
まずは職員から不安に感じている部分の確認を行いながら、指導係やリーダーがお手本を見せながらやってみるようにしましょう。
そのうえでいきなり全部をやってもらうのではなく、段階的にできる部分までやってもらいながら成功体験を持てるような関わり方ができるとベストです。
逆に今の段階で、苦手な仕事に取り組むつもりのない職員には強制しないことも関わり方の1つです。
関わり方の例
- 得意な仕事で他の職員以上に力を発揮できる環境を与える。
- 職員が苦手な仕事に取り組もうと思うまで待つ。
- 運営に影響が出るようであれば部署異動も視野に入れる。
苦手な仕事以外は覚えることができていて、苦手な仕事以外に意欲的なようであれば、得意なことで力を発揮してもらうことが有効でしょう。
苦手な仕事を避けているせいで、その仕事を覚えられないことが課題だと自分で感じるまで待つことも必要です。
指導係やリーダーは職員の意識が変わった瞬間を見逃さないように根気強い関わり方をしていきましょう。
苦手な仕事を覚えられないだけでなく、運営に支障が出るような場合にはその職員の力が十分発揮できる部署への異動も必要かもしれません。
仕事だという意識が欠如している
デイサービスで働く職員の中には、仕事だという意識が欠如している職員がいる場合があります。
仕事だという意識が欠如していると、今日教えたことでも明日にはリセットされてしまい仕事が覚えられない要因となります。
デイサービスの中で仕事だという意識が欠如していて仕事が覚えられない職員には次のような特徴があります。
- その時に言われたことをやればいいと思っている。
- 仕事に対しての待遇が割に合っていないと思っている。
- その仕事の意味や内容を理解していない。
- 寝不足や二日酔いなど仕事に集中できない健康状態で出勤する。
- 遅刻が多い。
必ずしも仕事に対する意識が欠如している=やる気がないということではないので注意が必要ですが、今回はやる気がない意味合いの意識の欠如に対しての関わり方を解説していきます。
自分の待遇などに不満を抱えている職員は、意図的に仕事に対しての意識を欠如させている場合があります。
その結果言われたことをそのまま実行するだけになるので、経験の積み重ねにならず仕事が覚えられないことにつながっていきます。
またプライベートを充実させた結果、デイサービスの仕事にかけられる力の割合が低くなっていると寝不足や二日酔いなど仕事に集中できない健康状態で出勤することもあります。
仕事に対しての意識が欠如している職員は離職しやすい傾向にもありますが、デイサービスとして毅然とした態度で関わるようにしましょう。
関わり方の例
- 管理者や上司に相談しておく。
- 仕事をする時の理想の姿勢を伝える。
- 仕事への意識を改善できるか確認する
- 仕事を続ける意思があるかどうか確認する。
- 健康状態によっては就業規則に従って入場禁止などの対応も考える。
デイサービスでの仕事への意識が欠如していて仕事を覚えられない職員には、厳しい関わり方も必要な場合があります。
デイサービスの指導係やリーダーだけの関わりでは対応が難しくなるケースですので、管理者や上司に必ず相談しておくようにしましょう。
専門用語や略語に追い付いていない
職員がデイサービスで使う専門用語や略語を理解しないまま、指導を進めてしまうことも仕事が覚えられない原因になります。
先ほどお伝えした、職員の経験に対して情報量が多すぎるとも性質が似ていますね。
例えば『ADL』という言葉はデイサービスでは当たり前に使っていますよね?ですが、今日初めて介護職員として出勤した職員にとってはADLと聞いても「?」が浮かぶだけです。
分からない言葉が出てくると、その先のことをいくら説明しても分からない言葉のところで置き去りになってしまいます。
その結果、指導係やリーダーが言っていることが理解できずに仕事を覚えられないことにつながっていきます。
記録や書類が多いデイサービスでは次のような専門用語や略語を使うことが日常化されています。
デイサービスで使われる専門用語の例
- バイタル
- ショートステイ
- ケアプラン
- アセスメント
- カンファレンス
- 側臥位、仰臥位、腹臥位
- 端座位、長座位、椅座位
- 移乗、トランス
- 地域包括ケアシステム
- 個別機能訓練
- クライアント
- 認定調査
- 介護度
- 区分変更
- 福祉用具
- モニタリング
- 総合事業、事業対象
- 見守り
- 介助
- サービス担当者会議
デイサービスで使われる略語の例
- BT(体温)
- KT(体温)
- BP(血圧)
- P(脈、呼吸)
- Ns(看護師)
- fam(家族)
- ADL(日常生活動作)
- IADL(手段的日常生活動作)
- PT(理学療法士)
- OT(作業療法士)
- ST(言語聴覚士)
- SW(ソーシャルワーカー、社会福祉士や精神保健福祉士など)
- BPSD(認知症の周辺症状、行動・心理症状)
文字を見たり言葉を聞けば何となくイメージが湧きやすい物もありますが、日常的に会話に入ってくると意味を理解していない場合には混乱しそうですよね。
私自身も最初は言葉の意味が理解できない物が多く、アルファベットを使うような略語は覚えることに難儀した覚えがあります。
デイサービスでの経験を積んでいけば少しずつ理解できるようにもなりますが、専門用語や略語に追い付けずに仕事が覚えられない状況であれば関わり方を工夫していく必要があるでしょう。
指導係やリーダーとしては具体的に次のような関わり方が考えられます。
関わり方の例
- 事前に専門用語や略語に関して説明をしておく。
- できる限り専門用語や略語を使わずに説明する。
- 専門用語を使う時には、その意味も添えて話を進める。
- 説明をした後に分からない言葉が無かったか確認する
デイサービスで使う頻度の高い専門用語や略語は職員に事前に意味を伝えておくだけでも、理解度は上がります。
また最初の内はできる限り専門用語や略語を使わずに説明することも効果的ですが、現実としては結構難しいです。
ですので専門用語や略語を使う時には、その意味も添えながら説明していくことで職員は仕事を覚えやすくなります。
例えば次のようなイメージですね。
介護度やADLを含んだ会話の例
指導係「その方の介護が必要な度合いを示す言葉を介護というんだけど、介護度の数字が大きくなるほどより介護が必要な状態って言うことになるのね」
職員「はい。介護度の数字が大きいほど歩いたりすることが大変になるということですか?」
指導係「そういうこと!歩いたり、食べたり、着替えたりという日常的に行う動作をADL(日常生活動作)って言うんだけど、介護度が高くなるほどADLは低下する傾向にあるわね。
職員「わかりました!ありがとうございます」
上記の事例では、介護度とADLに関して説明を添えながら職員に説明をしています。これを職員のレベルに合わせながら行なうイメージの関わり方ができればベストです。
また最後に「ADLってどんな意味だったか覚えている?」と復習をしながら職員側にもアウトプットさせることでより深い理解につながっていくでしょう。
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仕事が覚えられない場合には病気や障害という可能性も考える
最近では、大人の発達障害に関してもメディアで触れる機会が増えてきました。
デイサービスで仕事を覚えられない職員がいる場合には、病気や障害の可能性があることも考えておきましょう。
私は保育士資格や幼稚園教諭免許も持っているので、学生時代には子どもの発達障害として次の3つの発達障害を学んだ経験がありました。
- ASD(自閉症スペクトラム)
- ADHD(注意欠陥多動性障害)
- LD(学習障害)
昔は子どもの障害だと思っていましたが、最近はメディアで取り上げられる機会も増え大人でも発達障害の可能性がある人がいるということを知りました。
私自身もこれまであまり意識してこなかった部分ではあるので、実際に自分が発達障害の方と関わった機会があるかどうかまでは分かりません。
それぞれの発達障害にはそれぞれ苦手なことがありますが、まだまだ私自身も含め世間的にも理解を深めていくべき部分だと感じています。
何か極端に仕事を覚えられないなとと感じた場合には病気や障害の可能性も考えて、関わり方を模索していきましょう。
仕事を覚えられない職員に対してのNGワード
デイサービスで仕事を覚えられない職員に限らずですが、指導係として職員に教える時に使わないほうがいいNGワードがいくつかありますので簡単に紹介だけしていきますね。
次のようなNGワードを使うことで職員が委縮したり、仕事への意欲が低下したり、積極性を奪い余計に仕事を覚えられなくなっていきます。
紹介するNGワードは意識していないと使いやすい言葉ですので、デイサービスの指導係やリーダーはNGワードを使わないように意識することが必要になるでしょう。
NGワードの例
- この間も言ったよね?
- なんとなくやっといて
- 普通は、一般的には
- 言われた通りにやって
- 話聞いてた?
- 早くやって
- 簡単だよね?
- 他の人はやってるよ
- はぁ?
これらのNGワードを使わないように意識するためには次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 相手をバカにしない
- 他の職員と比べない
- 一呼吸置く
相手をバカにするような意識や、他の職員はできているよ?と常に誰かと比べるような意識を持っていると、NGワードを使いやすくなってしまいます。
職員に指導する時には、人対人として1対1で向き合っているんだということを常に意識しておきましょう。
またデイサービスは、仕事内容も多く指導係やリーダーも職員の指導以外にも多くの仕事を抱えている場合が多いでしょう。
忙しくなってくると思わずNGワードを言いそうになることもありますが、相手に発信する時には一呼吸置いて発信する習慣をつけておくようにしましょう。
まとめ
今回は、【教え方のコツ】デイサービスで仕事を覚えられない職員の7つの原因と関わり方を解説というテーマでお伝えしてきました。
デイサービスでは、なかなか仕事を覚えられない職員に出会うことがあります。
デイサービスで仕事を覚えられない職員への教え方のコツとして次の3つをお伝えしました。
- 覚えられない原因を分析する
- できた部分を認める
- 期待しない
まずはデイサービスで仕事を覚えられない職員への教え方のコツを押さえておきましょう。
そのうえでデイサービス職員がなぜ仕事を覚えられないのか原因を把握することが関わり方のヒントになっていきます。
今回の記事の中では、デイサービス職員が仕事を覚えられない原因として次の7つを紹介してきました。
- 覚えることが苦手
- メモを取らない、活用できない
- 職員の経験に対して情報量が多すぎる
- 分からないことを放置している
- 苦手だと思う仕事を意図的に避けている
- 仕事だという意識が欠如している
- 専門用語に追い付いていない
本文の中では原因ごとの関わり方にも触れていますので、是非ご覧ください。
デイサービスの指導係やリーダーが仕事を覚えられない職員と関わっていると、感情的になり相手をバカにしたり他の職員と比べるような発信をしてしまいがちです。
感情的になった時には瞬発的に発信するのではなく、普段から一呼吸置いてから発信する習慣をつけておくようにしましょう。
デイサービスでなかなか仕事を覚えられない職員に出会うと、指導係やリーダーは色々な悩みを抱えてしまうかもしれません。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです!!