この記事で分かるデイサービスのことは次の通りです。
- デイサービスでルールを守るべき理由
- デイサービスでルールを作る時の注意点
- デイサービスで柔軟な対応はしていけないかどうか
- デイサービスで柔軟な対応をしたいと思った時に取るべき行動
デイサービスの業務の中では、多くの場面でルールがあり制限の中で業務を行なうことが多いですよね。
- 制度上のルール
- 働いているデイサービス独自のルール
- 臨時で作られたルール
などルールの中には様々な種類のものがあります。
私はデイサービス勤務歴11年以上の中で「正直このルールって必要なの?」と思うようなルールにも出会ってきました。
ルールから外れて柔軟な対応ができればデイサービスの業務が楽になったり、効率よくできるのになぁと思うことが何度もありました。
ですが、よくよく考えるとデイサービスのルールには作られた背景があり必ず何かしらの意味を持っています。
窮屈なイメージや自由を奪われるというイメージが強いルールですが、デイサービスの中でルールを守ることにも理由があります。
今回の記事では、デイサービスでルールを守るべき理由についてお伝えしていこうと思います。
それに加えて、デイサービスでルールを作る時の注意点や柔軟な対応をしたいと思った時に取るべき行動についてもお伝えしていきます。
デイサービスの中でルールは守るべきなの?と感じている方は、是非今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
それではご覧ください!
この記事を書いている私に関して
- デイサービス勤務歴11年以上の経験の中で、介護職、生活相談員、管理者を経験する
- デイサービスの生活相談員や管理者(社会福祉士)として10年以上にわたり相談窓口として勤務する。
- 『ルールに縛られない生き方をしよう』というルールに縛られて生きています。
デイサービスでルールを守るべき5つの理由
デイサービスの介護現場で働いていると、時にはご利用者に柔軟な対応をしたいと思う事もあるでしょう。
ですがデイサービスでは原則として、決められたルールの中で業務を行なうべきだと私は考えています。
デイサービスでルールを守るべき理由として次の5つがあります。
- ケアプランに基づいたサービス提供だから
- サービスの質を安定させるため
- リスクマネジメントのため
- 知らず知らずの内に法律違反をする可能性があるから
- 統率を取るため
一般的に柔軟な対応というと聞こえの良い言葉に感じますが、デイサービスにおいては必ずしもそうではないと言えるでしょう。
柔軟な対応をするということは、言葉を変えるとその場の思い付きで対応するということです。
もちろん柔軟な対応が許容される範囲もありますが、ルールが設定されている場面に関してはルールを守りながら業務を行なうことがデイサービス職員の基本姿勢となります。
それでは、デイサービスでルールを守るべき5つの理由に関して詳しく解説していきます。
ケアプランに基づいたサービス提供だから
まず前提として、デイサービスは介護保険制度の中で動いている事業です。
それぞれのデイサービスは介護保険制度の中からはみださない範囲で、独自の特徴を出したり独自のルールを設定しています。
そして今回の話で重要になる事は、ケアプランの存在です。
ケアプランはデイサービスがご利用者へサービス提供するうえで、大元となる計画書です。
念のためケアプランを簡単に説明しておきます。
ケアプランとは
- ケアマネージャーがご利用者本人やそのご家族等の状況や希望を踏まえて作成される
- 利用者への支援の方針が示されるもの
- 解決すべき課題が明確化されたもの
- 提供される介護サービスの目標と内容をまとめたもの
デイサービスでは、このケアプランを元にして通所介護計画書や各加算の計画書を作成したうえでサービス提供を行なうことになります。
例えばケアプランにデイサービスでの入浴に関する記載がないのに「自宅で入っていないって本人が言っていたので・・・」とその場の判断で入浴を行うことは有り得ないということですね。
またケアプランは、他のサービスとの整合性も取りながら作成されています。
デイサービスでケアプランというルールを守らないことで整合性が崩れていしまいます。
例えば、訪問リハビリで『自宅で1人でトイレに行けるようになる』という目的を持っているにも関わらず、
デイサービスで「トイレは1人で行くのは危ないから」と介助をし続けていたらケアプランの整合性が崩れてしまいますよね。
デイサービスの中でルールを守らないことは、デイサービスの中だけにとどまらずに他の事業所やご利用者への影響も出てしまいますので気を付けましょう。
サービスの質を安定させるため
デイサービスでは、ルールを設けることでサービス提供の質を安定させる役割があります。
前にデイサービスのマニュアル作成の記事でお伝えしましたが、マニュアルの役割にも似たようなものがありますね。
ハンバーガー屋さんはいつ行っても、同じ味、同じ量、同じ見た目のハンバーガーが提供されますよね。
あれは、マニュアルというルールを職員全員が遵守しているからです。
つまりルールを守ることで、お客様がいつ来ても同じ質のサービスを提供できているということですね。
デイサービスでもサービスの質を安定させることで、次のような効果が得られます。
- ご利用者やご家族等に安心感を与える
- 事故の防止につながる
- 業務の効率化ができる
- デイサービスのレベルアップにつながる
デイサービスで言うと、例えば電話対応にもルールがあったほうがいいでしょう。電話の出方はルールを決めておかないと特にばらつきが出やすい業務なので事例を紹介してみます。
- 「おはようございます!なひのひデイサービスのなひのひでございます。」
- 「はい、なひのひです。」
- 「おざまーす。なひのひでーす。」
電話の出方1つをとってみても、ルールが無い場合このように人によってバラツキがでます。
デイサービスでの電話の出方にルールが無いと、その後の電話対応のばらつきが更に大きくなっていくことは言わずもがなですよね。
ちなみに私のデイサービスでは、次のような電話の出方に次のようなルールを設定しています。
- 時間に合わせた挨拶をする
- 事業所名を名乗る
- 対応者の名前を名乗る
- 言葉は正確に伸ばさずに言う
電話の出方のルールを決めておくことで、いつ誰が電話対応をしても同じ質での対応ができるようになります。
その結果「なひのひデイはいつ電話をしても同じように対応をしてくれて安心感がある」と思っていただけるようになり、それがデイサービスへの信頼にもつながると思っています。
-
【業務効率化に必須】あなたのデイサービスで実用できるマニュアル作成のコツとポイントをお伝えします。
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リスクマネジメントのため
デイサービスでルールを守ることは、リスクマネジメントにもつながります。
リスクマネジメントと聞くと、事故の未然防止をイメージされる方が多いでしょうか?
ですが『リスクマネジメント』と『ルールを守ること』を紐づけて考える場合には、リスクマネジメントは広い意味を持っていると思います。
例えば、次のようなリスクマネジメントが代表的な例として挙げられます。
- 感染症の拡大予防
- 事故の予防
- 相談苦情の予防
- 緊急時の対応
- 離職防止 など
見方を変えると、リスクマネジメントが必要な場面に合わせてルールが設定されているということですね。
直近の分かりやすい例で言うと、新型コロナウイルスがありますよね。
多くの事業所で対応に難儀された(ている)ことと思います。
新型コロナウイルスへの対応でも、感染拡大防止のために次のようなルールが設定されました。
ポイント
- 3密の回避
- マスクの着用
- 送迎時の体温確認
- 使用後のアルコール消毒 など
コロナウイルスの感染拡大に対するリスクマネジメントのために、設定されたルールです。
実際にこのルールにどれほどの効果があったのかは別の話ですが、、コロナ禍であってもご利用者にとってデイサービスという必要なサービスを届け続けるためにルールを守る必要がありましたよね。
リスクマネジメントの為にデイサービスでルールを守る必要があるというポイントにおいては一番身近な事例だと思います。
知らず知らずの内に法律違反をする可能性があるから
デイサービスでルールが存在する意味の一つに法令遵守があります。
普段あまり気にしないかもしれませんが、デイサービスを運営していくうえでは実に多くの法律が関連してきます。
そのためデイサービスでは、柔軟な対応をしたいと思った行動が実は知らず知らずのうちに法令違反になる場合もあります。
例えばデイサービスで起こりやすい事例としては、白癬の爪切りなどでしょうか?
介護職員が行なえる爪切りには次のような条件があります。
- 爪そのものに異常がない
- 爪の周囲の皮膚にも炎症や化膿がない
- 糖尿病などの疾患に伴う専門的な管理が必要でない
これは医師法第17条に根拠が示されています。
端的に言うと正常な爪でない方の爪切りは医療行為に該当しているということですね。
爪に症状のある方から爪切りを頼まれて、断り切れずに柔軟な対応として爪切りを行うと資格を持たずに医療行為を行なったことになります。
直ちに法令違反として何かしらの処分がされるという可能性は低いと思いますが、後のトラブルにつながった場合に言い逃れができなくなってしまいます。
爪切りだけに限らず柔軟な対応をすることが、法令違反になっている可能性もあるので気をつけましょう。
統率が取るため
私のデイサービスでの勤務経験上から、デイサービスの中で柔軟な対応を職員の判断に委ねていると統率が取れなくなっていきます。
デイサービスで職員の統率を取るということに焦点を当てるとルールが必要な理由として次の3つがあげられます。
- 全員が同じ認識を持つ
- 全員が同じレベルのサービス提供を行う
- 全員が効率よく業務を行なうため
例えばですが、皆様のデイサービスでは始業時間についてルールが定められているでしょうか?
かなり極端な例かもしれませんが、始業時間が『8:30くらい』と定められていたら皆さんはどう感じるでしょうか?
- 『8:30』だから8:25までにはデイサービスに着かなくちゃいけないと感じる方
- 『8:30くらい』だから9:00までに行けば許容範囲だなと感じる方
- 『8:00』までにはデイサービスに行っておかなくちゃいけないなと感じる方
このように様々な考え方を持つ方がいるのではないでしょうか?
8:30までにデイサービスに来る職員は、8:40頃には業務に就けるでしょう。ですが、9:00にデイサービスに来る職員が業務に就くことができるのは9:10くらいからですよね?
つまりルールが曖昧であったり、ルールがないデイサービスでは職員毎に違う認識を持ち、サービス提供のレベルに差が生まれ、効率よく業務を行なうことができなくなるということです。
それによってデイサービス全体の統率が取れなくなってきます。
始業時間の例で言うと『8:30』と決めることで職員全員が8:30にはデイサービスに到着していて、朝礼なり実務なりに取り組むことができるということになります。(時間差出勤や勤務形態の違いによるものは別ですよ。)
デイサービスでの始業時間の例と同じような考え方で、必要な部分に必要なルールをはめ込むことで統率が取れてまとまりのある組織になっていきます。
ここまではデイサービスではルールを守るべきだとしてその理由についてお伝えしてきました。
では、デイサービスの中で実際にルールを作る必要が出た場合には、どのような点に注意していくといいでしょうか?
次に、デイサービスでルールを作る時の注意点についてお伝えしていきます。
デイサービスでルールを作る時の5つの注意点
では、デイサービスでルールを作る時に注意していくべき点はどのようなところにあるでしょうか?
デイサービスで何か課題が発生した時に、むやみやたらにルールを作ってしまうことは余計に職員の混乱につながるので注意が必要です。
デイサービスでルールを作る時に注意すべき点は次の5つです。
- 誰もが同じ解釈のできるルールにする
- 実現可能なルールにする
- 無意味なルールは作らない
- 新規作成ではなく上書き保存
- 数字や曜日は分かりやすい指標となる
基本的にルールの数は必要最小限に留めておいた方がいいでしょう。
ルールを作る時の基本的な考えとしては、新規作成ではなく上書き保存だと思っておいてください。
誰もが同じ解釈のできるルールにする
デイサービスでルールを作る時にはデイサービスの職員を含め、ご利用者ご家族など関係する方全員が同じ解釈のできるルールにする必要があります。
デイサービスのルールが外部にまで影響することはさほど多くないとは思いますが、もしデイサービスの関係者を巻き込むルールを作る場合には関係者にも伝えわるように意識しておいてください。
誰もが同じ解釈のできるルールにするということなんですが、曖昧なルールや抽象的な表現は使わないということですね。
事故報告書の書き方の記事でもお伝えしましたが、曖昧だったり抽象的な表現は人によって捉え方が変わります。
例えば、次のような表現は曖昧で抽象的ですので気を付けましょう。
- かなり
- とても
- 不十分
- 十分(じゅうぶん)
- 徹底する
- 安全におこなう
- 余裕をもって
- たくさん
- きちんと
- しっかり
せっかくルールを作っても、人によってバラバラな解釈では意味がないですよね?
例えば事故報告書でいうと改善策=デイサービスのルールになっていきます。その改善策で多いのが『見守りを徹底する』です。『見守りの徹底』は使うのが楽である反面、人によって解釈が異なる言葉なのでルールとしてはNGですね。
見守りという言葉がデイサービスの中で定義されていればいいですが、それにしても徹底は人によって解釈が違う言葉です。
『見守りの徹底』を言い換えるのであれば、例えば次のようになります。
参考
『歩行時には職員の手の届く範囲内で着席するまで、目を離さずに付き添う。』
もちろん、これは状況によって変わりますが、ルールを作る時には最低でもこのくらい明確なものにする必要があります。
-
参考【社会福祉士が解説】デイサービス事故報告書の質を高める書き方と5つのNG行動を解説!!
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実現可能なルールにする
ルールを作る時にやってしまいがちなのが、実現不可能なルールを作ってしまうことです。
デイサービスでは次のようなルールの作り方をすると、実現できないルールになるので気をつけていきましょう。
- 理想を求めすぎている
- 職員のレベルに合っていない
- 環境が整っていない
ルールを作る時には、何かしらの課題が改善されたり職員が働きやすくなるように実現可能なルールにしていく必要があります。
理想が高すぎて現実にそぐわないようなルールは、逆にデイサービス職員の意欲を削ぎ職員が納得できないルールとなってしまいます。
同じような意味で職員のレベルに合っていないルールは、実現可能とは言えずに長続きしないルールになります。
職員は経験年数であったり得意分野、不得意分野などによって業務のレベルに差がありますよね。レベルが高い職員に合わせたルールを作るとレベルが低い職員はルールを守ることができなくなります。
また、ルールを作る際には、環境を整えたうえ若しくは環境を整える前提で設定をしていくことも注意が必要なポイントになります。
例えば、デイサービスで次のようなルールを作ったとします。
介護記録は介護ソフトを使用して打ち込む
デイサービスでこのルールを作る場合には、まず介護ソフトが導入されているもしくは間違いなく導入される前提が無ければいけませんよね?
そしてここで言う環境とは介護ソフトの導入だけではなく、このルールで言うと介護ソフトを職員全員が使いこなせる環境まで整えなければいけないことになります。
- 介護ソフトを導入する
- 業者から使い方のレクチャーを受ける
- 職員から職員へ研修を行う
- 実際に使ってみる
- 分からない部分を確認する
- 使いこなせるようになる
大まかにこのような手順を踏んでいくことになるでしょうか?
この手順を踏まずに『はい、介護ソフトは導入したから記録はソフトでやってね』と言っても、介護ソフトを使える職員と使えない職員が出てしまい結局手書きで記録を残す職員が出てきます。
それでは実現可能なルールとは言えませんので、設定したルールによってルールを順守できる環境を作っていくことが必要になります。
無意味なルールは作らない
デイサービスでルールを作る時に注意すべき3点目は、無意味なルールは作らないということです。
デイサービスの業務から少し離れたところになりますが「飲み会への強制参加」は無意味なルールの最たるものかなと個人的には思います。
仕事が終わった後のプライベートの時間まで強制的に削られるという意味は正直理解しがたいですよね。
ちなみに個人的に無駄だと感じる時間ワーストスリーは次の通りです。
- 3位 赤信号の待ち時間
- 2位 釣りの釣れない時間
- 1位 職場の飲み会
脱線してしまいました。。。。。。。。。。
話を戻しますが無意味なルールは職員の頭に『?』を残すことになり、逆に業務の効率を悪くしたり事故のリスクを高めることになります。
例えばデイサービスでの次のようなルールは業務効率を悪くする無意味なルールと言えるでしょう。
- 介護記録はソフトを使わずに必ず手書きで行う
- 申し送りは必ず口頭で行う
- 申し送りは必ず文字で行う
- ご利用者全員を同じ時間にトイレ誘導する
- 必ず2人で介助を行う
もちろん、これらのルールにしっかりと根拠があってどの角度から攻め込まれても論破できるのであれば、それは意味のあるルールと言えるでしょう。
ですが、おそらく例に出したルールは根拠がハッキリせずに、違う視点から見た時に牙城を崩されるもろいルールだと思います。
これから、デイサービスの中でルールを作って業務の整備をしようと考えている方は、注意する点でしょう。
新規作成ではなく上書き保存
抽象的な表現になるのですがルールを作る時には、新規作成ではなく上書き保存が望ましいということは覚えておきましょう。
これは決してワードやエクセルの使い方を説明しようとしているわけではなく、ルールそのものに関する考え方です。
既にデイサービスを運営している場合には、いくつかのルールは出来上がっているという事業所がほとんどだと思います。
そんなデイサービスで新たなルールを作る必要が出た時には、0から考えるのではなく既に出来上がっているルールにくっつけて新たなルールを設定していくというのが上書き保存の考え方ですね。
新規作成のルールには次のようなデメリットがあります。
- ルールを作るのに時間がかかる
- 職員に浸透しづらい
- 職員が受け入れづらい
- 理解するのに時間がかかる
- 長続きしない
新規作成のルールと比較すると、上書き保存のルールは今既にやっていることにプラスされたり修正されるだけなのでデイサービスのルールとして浸透しやすいです。
「今すでにこういうルールでやっているから、ここにプラスしてやっていこうか」くらいの考え方の方が職員が受け入れやすく、継続もしていきやすいです。
数字や曜日は分かりやすい指標となる
ここに関しては、注意点というよりもデイサービスでルールを作る時のポイントになります。
デイサービスでルールを作る時には、数字や曜日など誰でもが同じ解釈のできる指標を用いることで統一感のあるルールを作ることができるようになります。
先ほど、誰もが同じ解釈のできるルールにするということをお伝えしましたが、数字や曜日などを使うこともその方法の1つですね。
よく東京ドーム○個分とかって表現されることがありますよね。あれは日本の中で使うには便利な表現ですよね。(私は田舎者なのでイマイチ、ピンと来ないのですが。。。タージマハル○個分と言われているのと一緒です。。。)
さて、デイサービスのルールに数字や曜日などを入れると、次のように分かりやすくなります。
- 『短時間で』→『20分以内で』
- 『週3回』→『月水金曜日』
- 『血圧が高い時』→『血圧が150/100以上の時』
これはほんの一例ですが、数字や曜日はデイサービスの職員全員の同じ解釈につながりますので積極的に用いることをオススメします。
反対に次のような表現は、人によって解釈が変わったり責任を負いたくない逃げ道のような感じになるので多用しないようにしましょう。
- 約
- 大体
- おおよそ
- 程度
このような表現を使う場合に、例えば血圧に関してならば「140~150mmHg」のように許容できる範囲を事前に決めておくようにしましょう。
ルールを守ること自体が目的にならないようにしよう
これまでの内容と矛盾を感じるかもしれませんが、
デイサービスの中で様々なルールが出来上がっていくと、いつの間にかルールを守ること自体が目的になってしまいがちです。
ルールを守ることもちろん良いことなのですが、ルールを守ること自体が目的になることで次のような弊害が生まれます。
- ルールの改善の余地を見失う
- 職員の働きやすさが失われる
- サービスの質の低下を招く
ルールを守ること自体が目的になると、改善の余地があるルールでも『ルールを守らなければいけない』という思いが優先されるようになるでしょう。
その結果、デイサービス職員の自由度が奪われ働きやすさが失われていきます。
ルールは『守るため』に存在するのではなく『守ることでその先の目的を達成するため』にあります。
その先の目的とは、最初に説明した通りケアプランの遵守であったり、サービスの質の安定などを指します。
ルールを守ることに固執することで、結果としてサービスの質の低下を招くという本末転倒な事態にもなってしまいます。
そうならないためには、リーダーや管理者等がなぜルールが必要なのかを職員に理解できるように伝えておく必要があります。
『柔軟な対応』と『柔軟性のある考え方』は分けて考える
ここまでは、デイサービスでは基本的にはルールを守るべきという考え方ついてお伝えをしてきました。
そのうえで、ルールを守ること自体が目的にならないように気をつけましょうということもお伝えをしました。
ルールを守ることと、ルールを守ること自体が目的にならないように気を付けるという2つは矛盾しているようであり、難しそうですよね??
そこでここまでの総括のような内容になりますが、次の2つのことは分けて考えるようにしましょう。
- 柔軟な対応をすること
- 柔軟性のある考え方を持つこと
この2つのことを分けて考えておくことが、ルールを守ることとルールを守ること自体が目的にならないようすることにもつながっていきます。
まず、柔軟な対応をすることについてです。
デイサービスの中で柔軟な対応をするということは、言葉を変えるとその時の思い付きで対応をすることにもなります。
つまり柔軟な対応を思いついてすぐにしてしまうことは、デイサービスのルールから外れた対応になる可能性を秘めているということです。
ですがここからが重要で、柔軟な対応をしたいと考えること自体に問題があると言っているわけではありません。
むしろ柔軟性のある考え方は、デイサービスの業務を行なううえでは重要で、ご利用者の満足度や職員の働きやすさにつながっていきます。
ここで何が言いたいかというと、柔軟性のある考え方を持っていて柔軟な対応をしたいと思うのであれば手順を踏んでいく必要があるということです。
では、デイサービスで柔軟な対応をしたいと思った時にどのような行動をとるといいでしょうか?
デイサービスで柔軟な対応をしたいと思った時に取るべき行動についてお伝えしていきます。
デイサービスで柔軟な対応をしたいと思った時に取るべき行動
さきほど、少し触れましたがデイサービスの業務の中で柔軟な対応をすること自体は悪いことではありません。
むしろ柔軟性のある考え方がデイサービスの業務やご利用者へのサービス提供の質を上げる可能性を秘めていると考えています。
ですが、やはりデイサービスは一つの組織として動いていてチームワークが重要視される職場です。
決められたルールから外れることをする場合には次の2つの手順を踏んで、柔軟な対応をしていく必要があるでしょう。
- 相談する
- 職員の判断に許容される範囲を共有しておく
デイサービスの中で柔軟な対応をしたいと思った時には、すぐに対応するのではなく手順を踏んだうえで行動するようにしましょう。
ではデイサービスで柔軟な対応をしたいと思った時に取るべき行動について詳しくお伝えしていきます。
相談する
デイサービスで柔軟な対応が必要だと感じた時には、まず相談をするようにしましょう。
最初のほうでお伝えしたように、デイサービスでルールを守ることには意味があります。
ケアプランに基づく対応、法令順守、統率をとるためなどがルールを守る意味にあたりますね。
デイサービスで柔軟な対応が必要だと思って、職員単独の判断で柔軟な対応をしてしまうと、ルールの意味に抵触してしまうかもしれません。
ですので柔軟な対応が必要だと思った時には、管理者・生活相談員・リーダーなどに必ず相談をするようにしましょう。
つまり、デイサービスの職員間でルールを見直していくということですね。
例えば、次のような事例です。
レクリエーションの開始時間は14:00からだけど、13:50から開始できると、その後の動きにも余裕が出るんだけどなぁ
このような現場の思いがあった場合に、理由をそえて相談をしてみることが柔軟な対応への第一歩目かなと思います。
この事例でいうと、次のあたりが論点になるのかなと思います。
- レクリエーションの時間を早めることで職員の配置に影響が出る。
- 準備までの時間に職員の不足が生まれご利用者の移動などで転倒リスクが高まる。
- ご利用者が今の時間で慣れているので理解を頂けるかどうか。
ルールはもともと根拠があって決まっていますので提案や相談をすれば、ほとんど必ずと言っていいほど反論は生まれます。(生まれたほうがいいです)
ですので、ここの反論をクリアすることさえできればルールを変更して柔軟な対応をしていくことができるようになります。
ちなみに、デイサービスのルールに対して相談や提案をしたときに「いやルールで決まっていることだから」というような返事は完全に思考停止していますので意見として受け止めなくて大丈夫です。
いずれにしても、柔軟な対応への第一歩目は相談をすることです。
できれば、職員間で徒党を組んで相談してみることをオススメします。
職員の判断が許容される範囲を共有しておく
ではデイサービスで柔軟な対応をしたいと思って相談をしてみたうえで、万が一受け入れられなかった場合も含めての解説をしていきます。。
デイサービスで既に出来ていルール、これからルールを作る必要がある時にはどこまでが職員の判断が許容される範囲なのかを共有しておきましょう。
ここに関しては、言葉だけで単純には共有できない部分なので、塩梅が難しいフェーズでもあります。
例えばですが、ルールと言われる物の1つにマニュアルがあります。
私のデイサービスの場合、このマニュアルの中で入浴準備やホール掃除の手順などに関して①~~~~、②~~~~という様に準備や掃除の順番まで定めています。
もちろん、この順番にも意味があるのでそのようにしているのです。。。
がしかし、職員がこの順番を守らなかったからと言ってイチイチ職員に注意したりしません。
というのも、この入浴の準備や掃除の順番を守らなかった所でご利用者になんら影響が出るわけではないからです。むしろ、イチイチ注意することで職員の働きやすさを失うことの方が代償として大きいですよね。
ここは、組織風土や管理者やリーダーなどの裁量による部分が大きいのですが、柔軟な対応を許容できる範囲としては次のような基準が必要でしょう。
- ご利用者の安全が確保されること
- 職員の働きやすさが守られること
- 人に迷惑をかけないこと
マニュアルの順番の例で言うと、ルールを守らなかった所で効率が少し悪くなるだけでその他に特段影響が出るわけではありませんよね。
ですので職員の判断ややりやすさでルールから外れることも許容できる範囲となります。
また違う例で言うと、例えばご利用者の移動に関してです。
通所介護計画書で、移動に見守りが必要なご利用者がいます。
移動の見守りのルールとしては『座るまで見守ること』です。デイサービスの職員がこのルールを守らなかった場合どうなるでしょうか?
ご利用者が転倒して、事故につながる可能性が出てきますよね。
つまりルールによってはご利用者の安全が守られなくなるというような場面も出てきます。
これは、ご利用者に痛い思いをさせたり、デイサービスへの信頼にも関わってくるような内容なので柔軟な対応ができる余地はほとんど無いということになります。
まとめ
今回は、【規則厳守と柔軟性】デイサービスでルールを守るべき5つの理由と柔軟な対応をする時の手順について解説!というテーマでお伝えしてきました。
デイサービスのルールには理由や根拠があるので、デイサービスではルールを守って業務を行なうことが基本姿勢となります。
その理由として次の5つを解説してきました。
- ケアプランに基づいたサービス提供だから
- サービスの質を安定させるため
- リスクマネジメントのため
- 知らず知らずの内に法律違反をする可能性があるから
- 統率を取るため
デイサービスの中でルールが設定されている部分に関しては、ルールを守りながら業務を行なう様にしましょう。
ですがデイサービスでルールを設定する時には、ただ闇雲にルールを作ればいい訳ではありません。
全員が同じ解釈のできるルールにする、実現可能なルールにするなどのいくつかの注意点に気を付けながら、デイサービスのルールを作っていきましょう。
そうは言っても、デイサービスで柔軟な対応をしてはいけないということではありません。
柔軟な対応はご利用者の満足度を上げ、デイサービス職員の働きやすさにもつながるメリットを持っています。
柔軟性のある考え方を持つことで、ルールを守ること自体が目的にならないようにしていきましょう。
柔軟な対応が必要な場合には、相談することや職員の判断が許容される範囲を共有しておくようにしましょう
デイサービスではルールを守ること自体が目的になってしまうと、働き甲斐の無い職場になってしまいます。
デイサービスで楽しく働いて、やりがいのある仕事になるように今回の記事が参考になりましたら幸いです!!
それでは失礼いたします!